鍼灸師を目指している人必見!鍼灸師の資格取得方法
目に見えない痛みや苦しい症状を癒す鍼灸師は、年々人気の高まっている職業です。しかし、鍼灸師になりたくても、資格を取って仕事ができるまでの具体的な順序はあまりイメージできないのではないでしょうか。なんだか複雑そうと、調べるのが先延ばしになっているかもしれません。実は、鍼灸師になるためにはなるべく早く勉強を始めたほうが有利なのです。ここでは、鍼灸の知識がまったくない人が勉強をはじめて仕事ができるまでの必要になる資格とその取得方法、ぜひ一緒に取っておきたい資格について紹介します。
☆取得必須!鍼灸師に必要な資格について
鍼灸師になるにはどのような資格が必要なのでしょうか。実は、「鍼灸師」というのは正式な資格名称ではありません。鍼灸師とは「はり師」「きゅう師」両方の国家資格を持っている人のことを指しています。そのため、鍼灸師を目指すならこの2つの国家試験を受験し、両方に合格する必要があるのです。実際に施術を行う場でも両方の資格を持っている人が多く、資格取得試験も同時に受けるケースが多くあります。
はり師は患者のツボに細い金属の鍼を刺し、場合によっては電流などを加えて刺激を与えることで免疫機能や自律神経を整える治療を行います。きゅう師はもぐさの灸を使って患者のツボへ熱刺激を与え、主に血流を改善することで治療を行います。ツボは体に400カ所近くあるといわれており、ひとつひとつの場所と体への効能はもちろん、ツボそのものの状態やそれに合わせた整え方も知っていなければなりません。ツボの整え方を間違えれば、患者の症状をより悪くしてしまうこともあるのです。鍼灸師の知識と技能は非常に奥深く専門的なものといえるでしょう。
はり師ときゅう師の使う道具には違いがありますが、必要とされる知識にはツボに関してなど共通のものが多くあります。また、来院した患者の状態によっては鍼と灸を使い分けないといけないこともあるため、はり師ときゅう師の資格は両方取得しておくほうが現場に出た際に有利です。
☆どんな試験がある?鍼灸師の資格取得方法
はり師、きゅう師の国家試験を受けるには、まず受験資格を満たさなければなりません。受験資格を取得するには、文部科学省や厚生労働省から認定された大学、専門学校などの養成施設で、最低3年以上かけて知識や技能を学ぶ必要があります。4年制大学の鍼灸課程は時間、学費ともに専門学校より多くかかりますが、鍼灸以外の見聞を広めて学士の学位をとることができるというメリットがあります。一方、専門学校は3年制で鍼灸の知識、技能を集中的に学ぶことができ、国家試験の受験資格を取得するまでの時間、学費を抑えることができるというメリットがあるでしょう。
養成施設で受験資格を満たしたら、いよいよ国家試験の受験となります。しかし、国家試験に合格しても自動的に鍼灸師としての施術ができるわけではありません。施術を行えるようになるには、国家試験合格後に公益財団法人である「東洋療法研修試験財団」への登録申請書の提出が必要です。申請後、財団のはり師、きゅう師名簿へ登録が完了すると免許が交付され、晴れて鍼灸師としての施術を行えるようになります。
この申請書を提出する際には、財団に指定された形式の医師の診断書も同時に必要となります。もし、国家試験合格から財団への申請が1年以上空いてしまった場合は、その間に鍼灸師としての施術を行っていないことを証明する申述書が追加で必要になります。試験に合格しても気を抜かず、財団への申請を速やかに行いましょう。結婚などで本籍が変わった際には、その都度名簿の変更を届け出る義務もあるので注意が必要です。
☆はり師・きゅう師の国家試験について詳しく解説!
はり師、きゅう師の国家試験は筆記試験のみで年に1回、毎年2月の下旬に実施されています。詳しい試験日や受験願書などの書類の提出期限日は、厚生労働省のホームページなどに記載されるのが通例です。はり師ときゅう師の試験科目はそれぞれで分かれていますが、共通する科目も多くあります。そのため、両方の試験を同時に受ける際は、事前に申請すれば片方の共通科目の試験は免除され、同じ科目の試験を二度受ける必要はありません。
平成30年実施のはり師の国家試験科目は、医療概論、衛生学・公衆衛生学、関係法規、解剖学、はり理論および東洋医学臨床論などの13科目で、このうちはり理論および東洋医学臨床論以外はきゅう師の試験との共通科目です。きゅう師の試験科目ははり師試験との共通12科目と、きゅう理論および東洋医学臨床論となります。視覚に障害のある人は、事前に申請すると拡大文字や点字、試験問題の録音CDなどを利用して受験することが可能です。試験はすべての都道府県で行われるわけではなく、例として平成30年の試験会場の設置は全国11の都道府県でした。しかし、視覚に障害のある人のために、各都道府県で受験が可能になる配慮がありました。
では、はり師、きゅう師の国家試験の難易度はどのくらいなのでしょうか。平成24年度の試験の合格率は、はり師77.7%、きゅう師79.0%でした。しかし、その5年後の平成29年度の試験では、はり師57.7%、きゅう師62.5%となり、合格率はどんどん下がっているといえます。合格者が少なくなっているところを見ると、試験の難易度が飛躍的に上がっているように見えるかもしれません。しかし、合格者を新卒受験者と既卒受験者に分けてみると、新卒受験者の合格率は高く、既卒受験者の合格率は低い傾向があるのです。
鍼灸に関する情報は新しい発見などにより更新されており、関わる法律にも変更があります。このことから、新卒受験者は学校で新しい情報を得ており、既卒受験者は過去問題などで勉強しているため合格率に差が出ているという推測もできるでしょう。はり師、きゅう師の国家試験に合格するには、専門学校などで知識を積んでから間をおかずに受験することが重要だといえるかもしれません。
☆こんな人は鍼灸師を目指すのがおすすめ!
鍼灸師を目指す際にいちばん心配なのが、果たして自分はその仕事に向いているかということかもしれません。せっかく資格を取って鍼灸師の仕事を始めても、適性がなく続けることができなければ努力が無駄になってしまいます。鍼灸師になるには最低3年をかけなければならないため、適正不足での失敗は絶対に避けたいものです。鍼灸師として仕事をするときにまず必要とされるのが、注意力です。鍼や火気など、鍼灸師の使う道具には危険なものがあるため、患者に施術する際は細心の注意が必要といえます。患部を除去するような外科手術とは違い、鍼灸師は患者の状態や回復度合いを体の外から見なければなりません。回復のスピードに合わせた適切な施術を行うには、症状を正確につかむ注意力が重要になってきます。
また、鍼灸師にはコミュニケーション能力も要求されます。目には見えない体の悩みや困っている症状など、患者の訴えを正確に把握しなければ施術の効果を上げることはできません。相手が理解しやすいような説明とアドバイスができる言語力も必要ですし、明るくて前向きな雰囲気で患者の不安を和ませることも重要です。施術中には世間話をする場合もあることから、人の話を聞くのが好きな人が鍼灸師に向いているといえるでしょう。
自分は不器用だから鍼灸師には向いてないという不安もあるかもしれません。しかし、専門学校などの養成施設では、もぐさ作りや鍼とぎをはじめ、鍼灸師に必要な実技の数々を基礎の基礎から学ぶことができます。テキストでの勉強だけでなく、実習に力を入れているのは不器用な人にも心強い部分です。現場での経験を積んだ講師が丁寧に教えてくれるので、できるようになるまでのサポートも手厚く、確実に技能を習得することができるでしょう。
☆まずは国家資格の受験資格を得ることが夢への第一歩!
鍼灸師を目指すなら、まずはとにかく専門学校などの養成施設で技能を習得し、受験資格を取得しなければなりません。養成施設での勉強期間は最低3年とされているため、準備期間が比較的長く必要な仕事といえるでしょう。また、国家試験は年に1回しかなく、合格することができなければさらに1年待たなければなりません。国家試験の合格率が年々下がっている、つまり難易度が年々上がっていることを考えると、できるだけ早く学校を選んで技能を習得し、試験を受けるほうが有利といえます。
国家試験の難易度は年々上がっているといえますが、既卒受験者の合格率は低いものの、新卒受験者の合格率が高いのは興味深いところです。つまり、鍼灸の養成施設で最新の情報を学びながら技術を習得し、そのまま間を空けずに試験を受ける方法なら、一度で合格する可能性は決して低くはないのです。まずは知識と技能を手厚く教えてくれる学校を選び、1日も早く勉強を始めることが鍼灸師になる夢への第一歩といえるでしょう。
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