美容鍼は危険?リスクを回避する施術所の選び方とは

美容鍼は危険?リスクを回避する施術所の選び方とは

美容鍼は東洋医学である鍼治療を活用した、健康面や美容面でさまざまな改善効果が期待できる美容施術の1つです。しかし、顔に直接鍼を刺すため、中には美容鍼に対して不安を抱く患者さんもいます。美容鍼の施術者として活躍したいと考えている場合は、美容鍼が危険と言われる理由を踏まえて、患者さんに安心してもらえるサービスを提供しましょう。

当記事では、美容鍼が危険と言われる理由から美容鍼の施術が危険な状態、美容鍼の危険を避ける施設の選び方までを徹底解説します。美容鍼は基本的には安全ですが、患者さんの状態や施術所の経営方針・治療方針によっては注意が必要になるので、最後までご覧ください。

1. 美容鍼が危険と言われる理由|美容鍼のデメリット

美容鍼は、リフトアップや肌質改善が期待できる美容法として女性を中心に人気を集める一方で、「危険」と言われることもあります。重大な副作用が起きることは基本的にありませんが、リスクやデメリットも存在します。

まずは、美容鍼が危険と言われる主な理由を3つ説明します。

1-1. 内出血が現れる場合がある

美容鍼では、皮膚に鍼を刺した際、毛細血管が傷ついて内出血が起こることがあります。内出血とは、衝撃によって毛細血管が破れている状態のことです。毛細血管は繊細で傷つきやすく、顔には毛細血管が多いので、美容鍼には少なからず内出血のリスクが伴います。それは、技術力のある鍼灸師でも同様です。鍼の本数が多くなったり、鍼が太くなったりするほど、内出血の出る可能性は上がります。

しかし、内出血は現れても数ミリ程度で、基本的には数日~3週間ほどで自然に消失します。万が一内出血が起きた際は患部を指で軽く押さえて冷やし、痛みや腫れが治まったら温めるよう患者さんに伝えるとよいでしょう。結婚式など、大事なイベントを控えている場合は、顔の目立つ部分を避けて施術したり、てい鍼や円皮鍼を使用したりする施術方法もあります。

1-2. アレルギー反応が出る人がいる

美容鍼で使用する鍼の素材によっては、稀にアレルギー反応が起きる可能性があります。現在、鍼灸院で主流になっているのは、ステンレス製の鍼です。そのほかには金鍼や銀鍼などがあり、施術に応じて鍼の素材を使い分けます。金属アレルギーを引き起こす原因物質は、水銀・ニッケル・クロム・パラジウム・亜鉛・銅などが代表的です。ステンレスや銀の鍼にはこれらの金属が含まれるので、患者さんが刺激に敏感な場合は施術後にかゆみや赤みが出ることがあります。

美容鍼で重篤な症状が表れる確率は低いものの、金属アレルギーの有無や肌質などを施術前に患者さんに聞くとよいでしょう。アレルギー反応を心配される場合は、先をシリコンでコーティングした鍼を使用したり、本数を調整したりすると、アレルギー反応を抑えることが可能です。

1-3. 髄膜炎を引き起こす可能性がある

めったに起こりませんが、美容鍼で不衛生な針を使用した場合、髄膜炎になるリスクがあります。髄膜とは、頭蓋骨と脳の間に存在する膜です。ほうれい線の奥には顔面静脈があり、頭蓋骨につながっています。他の静脈と違い、顔面静脈には逆流を防止する弁がありません。そのため、ほうれい線に美容鍼を刺し、そこから細菌が入り込んで頭蓋骨まで達すると、髄膜炎を引き起こす恐れがあります。

髄膜炎を発症すると高熱や頭痛、意識障害などの症状が表れ、放置すると深刻な状態に至る危険性もあります。しかし、多くの施術所は滅菌消毒されている鍼の使用や手指消毒を徹底しているため、髄膜炎になる確率は限りなく低いです。特にステンレス鍼は使い捨てなので、同じ鍼を使い回すこともありません。

2. 美容鍼の施術が危険な状態もある?

美容鍼は本来安全な施術ですが、患者さんの状態によっては危険が伴うこともあります。以下に当てはまる場合は、施術を避けるべきと言えるでしょう。

  • 高熱が出ている
  • ひどく日焼けしている
  • 顔に大きな外傷や炎症がある
  • 睡眠不足で体調が悪い
  • 前日に大量に飲酒している
  • めまいや頭痛の症状がある

美容鍼の施術後には、倦怠感や眠気、発熱などの好転反応(めんげん反応)が一時的に起きる場合があります。患者さんの体調が整っていないと、好転反応が強く表れたり、美容鍼による改善効果が出にくくなったりします。そのため、体調によっては施術ができない場合があることを事前に伝えておくことが大切です。

3. 美容鍼の危険を避ける施設の選び方

美容鍼は安全性の高い施術とはいえ、少なからずリスクも存在します。美容鍼の危険を避けるには、就職先・転職先となる施設選びが重要となります。

ここからは、安心・安全に美容鍼の施術ができる施設を選ぶポイントを解説します。

3-1. 鍼灸師が施術している

美容鍼を施術できるのは国家資格を持つ鍼灸師のみなので、鍼灸師が在籍する施設を選ぶほうが安心です。最近では、エステサロンや整体院などが美容鍼のサービスを提供することもありますが、エステティシャンや整体師などは鍼灸師の資格保持者ではないため、美容鍼はできません。

鍼灸師は解剖学や生理学などの知識を有しており、ツボや神経、筋肉の構造を理解しています。無資格の施術者による美容鍼では、鍼を刺す深さや部位を誤り、内出血や神経の損傷などのリスクが高まることも考えられます。そのため、鍼灸師が美容鍼担当としている美容鍼灸院や美容鍼サロン、美容鍼灸サロンなどの施設を選ぶようにしましょう。

3-2. 衛生管理を徹底している

使い回しの鍼は感染症のリスクを高めるため、施術に使用する鍼は一度限りの使い捨てか、手指や患部を十分に消毒しているか確認しましょう。施術時に使う道具は整理整頓されているか、施術室で清潔なベッドやタオルを使っているかも重要なポイントです。

また、待合室やトイレ、洗面所の雰囲気からも、その施設が衛生管理に力を入れているかを判断できます。スリッパが乱雑になっていたり、水回りの掃除が行き届いてなかったりする施設はおすすめしません。

3-3. ホームページや口コミを見る

施設選びの際、ホームページや口コミのチェックも欠かせません。ホームページには施術内容や施術者の経歴、室内の写真が載っていることが多いため、資格の有無や施設の衛生管理の説明を確認しましょう。

また、口コミサイトやSNSでは実際に施術を受けた人の感想や評価が見られます。口コミは施設の雰囲気や施術者の対応を知る手がかりになるため、多くの人が高く評価している施設を選ぶとよいでしょう。ただし、口コミには個人の主観も含まれるので、複数の情報源を参考にすることをおすすめします。

4. 美容鍼に関するQ&A

最後に、美容鍼に関して患者さんがよく抱く疑問についてQ&A形式で解説します。患者さんに聞かれたときに即座に解答できれば、不安を解消する一助になるので、ぜひ参考にしてください。

4-1. 美容鍼とは?どんな効果がある?

美容鍼は、顔や頭のツボを鍼で刺激することで、本来の活性力を引き出す施術です。鍼によって血流にアプローチできるので、むくみのケアによる引き締め効果や、シミ・シワ・たるみを目立たなくする効果が期待できます。顔色がよくなれば、透明感がアップしたような印象にもなるでしょう。ただし、効果には個人差があります。

4-2. 美容鍼に痛みはある?

美容鍼で使用する鍼は非常に細いため、痛みはほとんどない場合が多いですが、人によってはチクッとした痛みを感じることもあります。特に、寝不足やストレスで体調が万全でない方、生理前・生理中の方は、普段より肌が敏感になることで、痛みを感じやすくなる傾向にあります。

4-3. 妊娠中・生理中でも施術は可能?

基本的には妊娠中・生理中でも美容鍼の施術は可能です。しかし、妊娠中は体調が変化しやすく、また生理中は体がデリケートな状態になっているため、症状や体調に応じて施術しても問題ないか患者さんに確認することをおすすめします。

まとめ

美容鍼は内出血やアレルギー反応、髄膜炎が起こる可能性があることから「危険」と言われる場合もありますが、患者さんの状態に応じて適切に対応すれば、重篤な健康被害が生じることはありません。美容鍼は、さまざまな悩みにアプローチできる鍼灸施術です。

鍼灸師として美容鍼の施術を提供したい場合は、鍼灸師が在籍しており、衛生管理を徹底している施設を選ぶと安心です。また、ホームページやSNSなどを確認し、自分の理想とするサービスを提供できる施設を就職先・転職先として選ぶようにしましょう。

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