鍼灸師に向いている人の特徴は?向いていない人や仕事内容も紹介

鍼灸師に向いている人の特徴は?向いていない人や仕事内容も紹介

鍼灸師は、リハビリ・代替医療に分類されている国家資格を要する仕事で、東洋医学に基づく施術を行います。高い技術が必要であると同時に、接客も必要であるためコミュニケーションスキルも求められます。鍼灸師を目指す方の中には、自分は鍼灸師に向いているか不安に感じる方もいるでしょう。

この記事では、鍼灸師に向いている方・向いていない方の特徴を詳しく解説します。千九市を目指す方法にも触れるため、ぜひお役立てください。

1.鍼灸師の仕事内容

鍼灸師(しんきゅうし・はりきゅうし)とは、鍼(はり)や灸(きゅう)を使って施術をする専門職です。理学療法士や作業療法士と並んでリハビリ・代替医療に分類されている国家資格で、東洋医学を基本とした施術を行います。

鍼灸師が使う鍼は0.14〜0.3ミリで、注射針の3分の1ほどの細さです。鍼の先端は丸みがあるため、刺した時にほぼ痛みがなく、この鍼で体のツボを刺激し、「気」のとどこおりや詰まりを調整します。鍼を電極にして弱い電流を流す施術も行われています。

灸は、よもぎなどの薬草から作られる「もぐさ」を経穴(ツボ)の上に乗せ火をつけ、熱で刺激する施術です。火をつけますが、やけどをするほど熱いわけではなく、リラックスできるような心地よい温かさです。

鍼も灸も、体のツボを刺激し自然治癒力を高める施術であると言われています。西洋医学のように、薬品を使わないため副作用なく、妊娠中や授乳中の女性、赤ちゃんなどにも行える施術として、世界的に注目されています。

2.鍼灸師に向いている人の特徴

鍼灸師は鍼と灸を使い施術する専門職であるのと同時に、接客業でもあります。お客様と円滑にコミュニケーションを取れる能力や、きめ細やかに施術できる能力などさまざまな適性が必要です。

以下では、上記の6つの特徴について詳しく説明します。なお、向いている人の特徴に当てはまらない場合も、勉強したり働いたりする中で適性が身につくことも少なくありません。鍼灸師を目指している方は、ポジティブな気持ちで勉強に取り組むとよいでしょう。

2-1.コミュニケーション能力が高い

鍼灸師はお客様から身体の悩みや、症状をヒアリングして施術します。問診で症状や生活環境の聞き取り、どのような施術を行うか判断しお客様に伝えなければなりません。鍼灸師はお客様と円滑なやりとりができるスキルが必須です。

また、お客様に信頼してもらい、リラックスして施術を受けてもらう必要があるため、人と話をすることが好きでコミュニケーション能力が高い方は活躍できるでしょう。

2-2.几帳面で清潔感がある

鍼灸師はお客様の体に触れて施術を行うため、清潔で几帳面な性格であることが望ましいでしょう。見た目の清潔感で、お客様の印象は大きく変わります。清潔感だけでなく衛生面にも気を遣いましょう。事故や感染を防ぐために衛生面の清潔さも重要です。

また、施術の効果を高めるためにはツボに対して的確に鍼を刺す、緻密さと几帳面さも求められます。

2-3.注意深く観察力がある

鍼灸師は医療に携わる職業です。施術中のミスやアクシデントを起こさないように細心の注意を払わなければなりません。ミスやアクシデントが起こる際には、何らかの兆候がある場合が多く、その兆候に気が付く注意深さが大切です。

また、お客様の中には、自身の不調に気づいていない方もいます。問診や施術の際に、お客様の表情や動きを注意深く観察し、細かな変化を見逃さない観察力も欠かせません。特に、東洋医学において、注意深く観察し施術をすることは重視すべきポイントとされています。

2-4.学ぶ意欲・向上心がある

医学は日々進化し、新しい治療法や薬が開発されています。鍼灸師も医療に携わる職業のため、知識のアップデートは必須です。鍼灸は東洋医学に由来するものですが、解剖学や生理学など西洋医学の知識も必要になります。鍼灸師には流行や最新の医学情報を勉強し続ける努力が欠かせません。

また、近年は美容鍼灸や高齢者鍼灸の需要も増えています。あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師など、複数の資格を取得し仕事の幅を広げている人もいます。鍼灸師としての知識だけではなく、周辺の資格や専門知識と掛け合わせることで、幅広い施術に対応できる人材として重宝されるでしょう。

2-5.手先が器用である

鍼灸師は手の感覚でツボの位置を確認し施術します。決められた方式に従って鍼を刺し、患部を刺激します。正確な位置に鍼を刺すために、手先の器用さは必須です。

また、1回の施術で数十本もの鍼を刺すことも珍しくないため、集中力も欠かせません。すべての鍼を的確に刺す器用さと集中力は、鍼灸師として重要な素質です。

2-6.体力・精神力がある

鍼灸師は一日に多くのお客様に施術します。ミスが許されないため神経を使う上に、お客様とのコミュニケーションに気を遣う場面も多くあります。体力、精神力が十分にあることが望ましいでしょう。

また、想定外のことが起こっても冷静に対処できる力も必須です。想定外のことが起きた際に、パニックになってしまうとお客様に不安や不信感を与えてしまいます。焦らず、臨機応変に対応できる対応力も大切なスキルです。

3.鍼灸師に向いていない人の特徴

鍼灸師に向いていない人の特徴として、以下の3点が挙げられます。

下積み期間や勉強会を苦に感じる
鍼灸師は専門職ですが、年収は一般的な職業と比べて高くはありません。鍼灸院によっては徒弟制度が設けられているところもあり、挫折する人も多くいます。また、研修会や勉強会などに時間を割くことを苦に感じる人もいます。
キャリアビジョンが描けない
近年、鍼灸師の資格取得者は増加傾向にあり、開業件数も増加しています。しかし、独立開業は鍼灸師としてのスキルだけでなく経営能力も必要で、楽な道のりではありません。

また、就職先は多方面にわたりますが個人経営で小規模な鍼灸院が多いため、就職が難しいという面もあります。専門学校在学中から、具体的な働き方やキャリアを検討しておくことが大切です。

鍼灸師の仕事に魅力を感じていない
鍼灸師は社会的な認知度が低いケースもあり、思うような評価が得られずやりがいを見出せないこともあります。鍼灸のスキルを生かしてどのように自己実現するか考え、モチベーションを保つ必要があります。

例えば、柔道整復師の資格も取得しスポーツ現場での活躍を目指す、美容分野や婦人科系の知識を深め女性向けの鍼灸院に就職するなど、自分の適性に合った進路を検討しましょう。

鍼灸師を目指したいものの、向いているかどうか分からず不安に感じる方は、関連資格の取得なども考えましょう。また、すでに鍼灸師の資格を取ったものの就職先に悩む方や、働きながら違和感を抱いている方は、副業をしたり鍼灸院以外の就職先を視野に入れたりすることも検討してみてください。

4.鍼灸師になるには?

鍼灸師になるには、はり師ときゅう師の2つの国家資格を取得しなければなりません。

資格を取得する流れは、まず、厚生労働省・文部科学省が養成施設に指定している大学・短期大学・専門学校で3年以上学びます。卒業後、年に1回実施されるはり師・きゅう師の国家試験を受験し合格すると鍼灸師になれます。国家試験の受験資格を得るまでに大学では4年間かかる一方で、専門学校では3年間で全科目を履修できるので、いち早く鍼灸師になれます。

ただし、鍼や灸を使用した実習カリキュラムを受講しなければ、国家試験の受験資格を得られないため、通信講座だけでは鍼灸師にはなれないことに注意してください。

また、近年では美容やスポーツ鍼灸に特化した授業がある鍼灸学科もあるので、自分の目指すキャリアに合った学校を選ぶとよいでしょう。

まとめ

鍼灸師に向いている人の特徴には、コミュニケーション能力の高さや注意深さ、向上心などが挙げられます。また、施術の特性上、手先の器用さも求められます。なお、適性は働きながら身につけることもできるため、前向きな気持ちで目指すことも大切です。

一方で、鍼灸師の仕事は下積み期間が長く、しっかりと収入を得ながら活躍できるまでに時間がかかります。根気よくスキルアップに取り組むことが苦に感じる方や具体的なキャリアビジョンがない方は、大変と感じる可能性があります。

鍼灸師になるためには、指定の大学や専門学校で学んだ上で国家試験に合格する必要があります。試験に向けた勉強をする中で、自分の適性やキャリアを考えてみるとよいでしょう。

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