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鍼灸におけるツボ一覧!悩み別にアプローチできる全身のツボと効果

鍼灸におけるツボ一覧!悩み別にアプローチできる全身のツボと効果

鍼灸とは、専用の鍼(はり)や灸(きゅう)を用いて体表にある経穴に物理的な刺激を与えるというもので、東洋医学の伝統的な施術の1つです。経穴はいわゆる「ツボ」を指し、ツボを刺激することによって起こり得る身体反応を利用する点が特徴です。

人間の体には非常に多くのツボが存在しています。鍼灸院では、一人ひとりの悩みに応じて適切なツボを刺激し、本来人々の体に備わっている自然治癒力や免疫力のアップを目指します。

当記事では、鍼灸におけるツボの数と悩み別にアプローチできるツボを詳しく紹介します。ツボ押しをして体の不調を緩和させたい方は、ぜひ参考にしてください。

1. 鍼灸におけるツボの数は361か所

ツボとは、東洋医学の概念にもとづくもので、「気」つまり目に見えない生命エネルギーの出入り口のことです。

体内には気の通り道である経路(けいらく)が張り巡らされており、体内の変調・変化を体表に伝えるとされています。全身の経路上には、一般的にツボと呼ばれる経穴(けいけつ)が点在しています。

ツボは、外部からの刺激による影響を強く受ける部位です。針や灸を用いてツボを刺激すれば、体内の異変が生じている部位に働きかけられると言われています。

セルフケアとしても比較的簡単に行えることから、その効果について不信感を抱く方も多いでしょう。しかし、ツボ押しによる効果の認識は世界的に広まっており、現在ではWHO(世界保健機関)によって361か所のツボが認定されています。

出典:NHK健康チャンネル「【特集】不調の改善が期待できるツボは?(腰痛・頭痛・肩こり改善やメンタル不調など)」

2. 睡眠の質を向上させるツボ

人間の全身に存在するツボは、刺激する場所によって期待できる効果が異なります。

そこでまずは、睡眠の質の向上が期待できる2つのツボを、特徴や押し方とともに紹介します。「しっかり寝ているのに、寝られた気がしない」「睡眠の途中に目が覚めてしまうことが多々ある」という方は、ぜひ参考にしてください。

2-1. 失眠(しつみん)

失眠(しつみん)とは、足の裏側、かかとの中央にある少しくぼんだ場所に位置するツボです。

不眠緩和の代表的なツボとしても知られており、ストレスや緊張など何らかの理由で高ぶった神経を落ち着かせることが期待できます。

失眠の押し方
  1. 左右いずれかの足首または足先を片手でもち、反対側の手で握りこぶしをつくる
  2. 握りこぶしの角(指の第二関節など)を使って、失眠のツボを10~20回程度軽く叩く

また、ベッドに座ったまま両ひざを立てて、かかとをゆっくりと布団にすりつけたり、かかとを湯たんぽにのせて温めたりするだけでも効果的です。

2-2. 労宮(ろうきゅう)

労宮(ろうきゅう)とは、手のひらの中心部分、手を軽く握ったときに中指・薬指先端の中間あたりに位置するツボです。

精神にはたらきかけられるツボとしても知られており、ストレスによる不眠や不安感、さらに緊張感の緩和が期待できます。

労宮の押し方
  1. 手のひらを自分に向ける形で、左右いずれかの手を広げる
  2. 反対側の手の親指で、5~10秒間ほどやや強めに押してからゆっくりと離す
  3. 両手5回ずつ繰り返す

繰り返し続けていると、強く押さえる指が疲労を感じて痛む場合もあります。ゴルフボールなど小さなボールを両手で挟めば、両手の労宮を効率よく刺激できるでしょう。

3. 疲れ目を緩和するツボ

疲れ目を緩和させられる代表的なツボには、「攅竹(さんちく)」と「合谷(ごうこく)」の2つが存在します。

これらのツボを刺激することによって目元のリラックス効果が期待でき、結果として睡眠の質向上にもつながるでしょう。長時間のパソコン作業や運転などで目を酷使しがちな方は、ぜひ参考にしてください。

3-1. 攅竹(さんちく)

攅竹とは、左右の眉頭のやや下にある小さなくぼみに位置するツボです。

かすみ目や目の痛みといった目周りの悩みのほか、眉間にシワを寄せることによる筋肉の凝りの緩和が期待できます。

攅竹の押し方
  1. 両手の親指の腹を使って、攅竹を5秒間ほどやや強めに押す
  2. ゆっくりと離した後、再度5秒間ほどやや強めに押す
  3. 5回ほど繰り返す

攅竹は骨のキワにあり最初は痛みを感じやすいものの、ツボ押しに慣れると徐々に痛みも軽減されます。とは言え、「痛い=効果がある」というわけではない上、強すぎる圧はかえって逆効果となるため、適度な力加減を維持しておきましょう。

3-2. 合谷(ごうこく)

合谷とは、手の甲側、親指と人差し指の骨が交差した部分に位置するツボです。

首から上の不快な悩みを緩和させられる万能のツボとしても知られており、特に目の痛みを感じている方におすすめされています。

合谷の押し方
  1. 片手の甲側を自分に向け、親指と人差し指を大きく開ける
  2. 反対側の手の親指と人差し指で合谷を挟む
  3. 合谷を挟んだ親指の腹を使って、人差し指で支えながら10秒間ほど強めに押す
  4. 3秒間ほど離した後、再度10秒間ほど強めに押す
  5. 両手3~5回ずつ繰り返す

合谷のツボが存在する場所は脂肪で覆われているため、「痛気持ちいい」程度の刺激を与えることがポイントです。

4. 身体の冷えを和らげるツボ

身体の冷えを緩和させられる代表的なツボには、「気海(きかい)」と「三陰交(さんいんこう)」の2つが存在します。

冷えは体の凝りや腹痛、不眠などあらゆる不調を引き起こす可能性があるため、症状が悪化する前からツボを刺激して対策することが大切です。

4-1. 気海(きかい)

気海とは、おへそから指2本分下に位置するツボです。

全身の気が集まるツボとしても知られており、刺激することで血行促進や下半身の冷えの緩和が期待できます。

気海の押し方
  1. 左右いずれかの手の親指を気海にあてる
  2. 息を吐きながら背中側に向けてゆっくりと押し込む
  3. 息を吸いながら5秒間ほどかけてゆっくりと離す
  4. 5~10回程度繰り返す

親指で押さえるほか、温かいカイロや蒸しタオルをのせるだけでも効果的です。

4-2. 三陰交(さんいんこう)

三陰交とは、内側にあるくるぶしの頂点から、指3~4本分上に位置するツボです。

下半身の冷えやむくみのほか、生理痛の緩和も期待できるとされており、特に女性にとっては重要なツボと言えるでしょう。座りながら・横になりながらツボ押しができます。

三陰交の押し方
  1. 左右いずれかの足首を片手でもつ
  2. 反対側の手の親指を使って、三陰交を5秒間ほどやや強めに押す
  3. ゆっくりと離した後、再度5秒間ほどやや強めに押す
  4. 両側3回ずつ繰り返す

骨のキワにあるツボとなっているため、痛みが出やすくなっています。基本的には徐々に慣れますが、強い痛みを感じる場合は力を弱めましょう。

5. 肩こりにアプローチできるツボ

肩こりにアプローチできる代表的なツボには、「肩井(けんせい)」と「手三里(てさんり)」の2つがあります。

日々のデスクワークで同じ姿勢が続く方や力仕事などで肩や腕を酷使する方は、ぜひこれらのツボ押しを実践してみましょう。

ここでは、各ツボの特徴や押し方を紹介します。

5-1. 肩井(けんせい)

肩井とは、首の後ろ側にある突起した骨と肩の先端のちょうど中間あたりに位置するツボです。

「肩」という漢字が入っていることから分かるように、肩回りの症状を緩和できる万能なツボとしても知られています。

肩井の押し方
  1. 左右いずれかの肩井に反対側の手をのせる
  2. 人差し指または中指の腹を使って、適度な圧で5秒間程度揉むように押す
  3. ゆっくりと離した後、再度5秒間程度押す
  4. 両肩5~6回ずつ繰り返す

肩井は押すと重たい痛みを感じやすくなっています。強い痛みは逆効果となるため、「痛気持ちいい」程度の圧をかけましょう。

5-2. 手三里(てさんり)

手三里とは、腕の内側、ひじを曲げたときにできる大きな横皺から手首側に向かって指3本分の場所に位置するツボです。

肩井と同様、肩こりの緩和が期待できます。また、腕の血流改善が促されることによって、腕の疲れやしびれの緩和にもつながるでしょう。

手三里の押し方
  1. 手のひらを自分に向ける形で、左右いずれかのひじを軽く曲げる
  2. 反対側の手で腕を包み込むようにもち、親指の腹を使ってやや弱めに3~5秒間ほど押す
  3. 両手5~10回ずつ繰り返す

手三里は特に痛みを感じやすいため、弱めの力で揉みほぐすように押すことがポイントです。

6. リラックスできるツボ

最後に、リラックス効果があるとされているツボ「神門(しんもん)」について、特徴や押し方を挙げながら紹介します。

ストレスが溜まって自律神経が乱れると、食欲の低下や倦怠感、めまい、不眠、便秘・下痢といったさまざまな症状を引き起こす可能性があります。日々の仕事などで常にストレスや緊張感を抱えている方は、ぜひ実践してみてください。

6-1. 神門(しんもん)

神門とは、手首と手のひらの境目にあたる大きな横皺の小指側にある小さなくぼみに位置するツボです。

心臓の経路にあるツボと言われており、優しく刺激することによってリラックス効果を得られます。精神の安定化や興奮状態の鎮静にもつながるため、ストレスによる不眠や集中力の途切れ、さらにうつ予防にも効果的です。

神門の押し方
  1. 片方の手のひらを自分に向け、反対側の手の親指と人差し指で神門を挟む
  2. 神門を挟んだ親指を使って、人差し指で支えながら5秒間ほど適度な力で押す
  3. 両手10回ずつ繰り返す

神門はやや小さめのツボとなっているため、ペンを使って優しく押したりお灸で温めたりするのもおすすめです。

まとめ

ツボは、体内の気の通り道である経絡の出入口のことで、人間の体にはいくつものツボが存在します。鍼灸院ではツボに対する鍼刺激の施術が人気となっており、鍼灸師(はり師・きゅう師)は一人ひとりの悩みにアプローチできるツボの知識が必須です。

また、ツボによって痛みの感じやすさは異なる上、強く押しすぎるとかえって逆効果となる可能性もあります。刺激する際は、適度な指圧を心がけましょう。特に顔にあるツボは強い刺激によって皮膚のしわやたるみが生じる可能性もあるため、美容を気にするならやりすぎは禁物です。ここまでの内容を参考に、ぜひ悩みにアプローチできるツボを刺激してみてはいかがでしょうか。

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