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花粉症には鍼灸が対策につながる?鼻づまりやアレルギーに効くツボ

花粉症には鍼灸が対策につながる?鼻づまりやアレルギーに効くツボ

花粉症とは、鼻腔内に侵入してきたスギ・ヒノキといった植物の花粉に対する免疫反応によって生じるアレルギー症状のことです。「季節性アレルギー性鼻炎」とも呼ばれる花粉症の主な症状にはくしゃみや鼻水、目のかゆみなどがあり、日常生活に支障をきたすほどの強い症状に悩まされる方も少なくありません。

近年、花粉症の1つの対策方法として「鍼灸」が注目されています。実際に全日本鍼灸学会が公表した研究データによると、鍼灸法が花粉症の一部症状に対して有効であったことが分かっています。

出典:出典:J-STAGE「花粉症に関する灸療法II」

そこで今回は、種類別にみた花粉症シーズンと主な症状から、花粉症にアプローチできる鍼灸のツボ、さらに鍼灸・ツボ押し以外の予防方法まで徹底解説しています。花粉症に悩まされている方は、ぜひ最後までご覧ください。

1.種類別にみた花粉症シーズンと主な症状

花粉症は、スギ・ヒノキをはじめとした植物の花粉が原因で引き起こされるアレルギー症状です。目や鼻の細胞表面に付着している「IgE抗体」と花粉が結合し、アレルギー症状と関係する細胞から分泌された化学伝達物質が神経・血管を刺激することが原因とされています。

現在では、日本人のおよそ4~5人に1人が花粉アレルギー体質をもつと言われています。「花粉症が出たことがない」という方も一定数いますが、どれほど免疫力が高い方であっても、体内に蓄積された花粉量が許容量を超えたタイミングである日突然発症するケースもあることに注意しましょう。

一度花粉症を発症すると、自然治癒力による体質改善・完治はきわめて困難です。また、根本治療は行わず、症状に応じて内服薬や鼻噴霧用ステロイド薬、さらに鼻粘膜へのレーザー治療を用いた対症療法が基本となることも覚えておきましょう。

以下では、アレルギー症状をもたらす花粉の飛散シーズンと、花粉症の主な症状について紹介します。

1-1.実は花粉症は通年病?春以外にも花粉は飛んでいる

「花粉シーズン」と聞いて、2月~4月の冬終わりから春中旬までの季節を思い浮かべる方も多くいるでしょう。実際に、アレルギー反応を引き起こす代表的な植物であるスギやヒノキの飛散量は2月上旬から5月中旬にかけてピークを迎えるものの、実は日本中で花粉は年中飛んでいます。

鼻炎をはじめとしたアレルギー症状を引き起こしやすい植物の種類には、スギ・ヒノキのほかにシラカンバ、イネ、ブタクサ、ヨモギ、カナムグラが挙げられます。各種類の飛散時期は、以下の通りです。

季節 植物の種類
スギ、ヒノキ
シラカンバ、イネ
ブタクサ、ヨモギ、カナムグラ
スギ

花粉症は春のスギ・ヒノキ花粉がもたらすイメージも強くありますが、上記を見て分かるように夏や秋に咲く植物でもアレルギー症状を引き起こす可能性は十分に考えられます。

近年では「通年病」とも言われつつあるため、「風邪かも?」と自己判断せずしっかりと花粉症対策をすることが大切です。

1-2.花粉症の主な症状について

花粉症の主な症状としては、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、充血などが挙げられ、そのうち「くしゃみ・鼻水・鼻づまり」は花粉症の三大症状とも言われています。

しかし、症状の有無や出現部位、度合いは人によって大きく異なることが特徴です。症状が強く出る方であれば、のどのかゆみや頭痛、倦怠感といった症状も伴う一方で、「花粉によるアレルギー症状をこれまで一度も自覚したことがない」という方もいます。

また、冒頭で述べた通り全日本鍼灸学会からは「鍼灸法が花粉症の一部症状に対して有効である」という研究データが公表されているほか、東京都鍼灸師会の公式サイトでは「鼻炎・アレルギー」が鍼灸の適応症であると記載されています。

出典:J-STAGE「花粉症に関する灸療法II」

出典:公益社団法人 東京都鍼灸師会「鍼灸の適応症」

2.花粉症にアプローチできる鍼灸のツボ

鍼灸施術は、一般的に「ツボ」と呼ばれる経穴の特定部分を刺激し、体のバランスを整えるよう働きかける点が特徴です。こうしたツボ押しの鍼灸法は、花粉による三大症状のほか、頭痛や倦怠感の緩和にもアプローチできるとされています。

ここからは、花粉症にアプローチできる鍼灸のツボについて、各ツボの位置や特徴、押し方を挙げながら詳しく解説します。

2-1.合谷(ごうこく)

合谷(ごうこく)とは、両手の甲側、親指と人差し指の骨の付け根が合わさった部位に位置するツボです。

鼻水や鼻づまり、頭痛、目のかゆみ、のどの痛みなど幅広い症状に対応しており、首から上の不快な症状を緩和させられる万能なツボとして知られています。

合谷の押し方
  • (1)左右いずれかの手の甲側を自分に向け、親指と人差し指を大きく開ける
  • (2)(1)で広げた手の合谷に反対側の手の親指を置き、手のひら側に人差し指を置く
  • (3)合谷を挟んだ親指と人差し指に力を入れ、少し痛い程度に押したまま10秒間キープ
  • (4)3秒間ほど離した後、再度10秒間押す
  • (5)(4)を3~5回繰り返す
  • (6)反対側の手も同様に行う

2-2.印堂(いんどう)

印堂(いんどう)とは、左右の眉頭をつないだ眉間のちょうど中央に位置するツボです。

印堂にある鼻根筋は、眉間にしわを寄せる際や鼻をかむ際に使う筋肉であり、適度な力で刺激を与えることによって筋緊張の緩和に加え、筋緊張の緩和によるリラックス効果も期待できます。

印堂の押し方
  • (1)眉間の中央に親指の腹をあてる
  • (2)適度に力を加えたまま、小さな円を描くように10秒間程度押す
  • (3)呼吸に合わせながら(2)を3~5回繰り返す

2-3.迎香(げいこう)

迎香(げいこう)とは、小鼻の付け根の両脇、ほうれい線が入るところに位置するツボです。

「香りを迎える」という意味から名付けられたこのツボは、花粉症によって鼻が詰まり匂いを感じられなくなった方・鼻の通りをよくしたい方に人気があります。寝る前にリラックス効果を期待できる印堂とともに刺激すれば、呼吸が整いぐっすりと眠りにつくことも期待できます。

迎香の押し方
  • (1)両小鼻の横にあるくぼみの部分に、両手の人差し指をあてる
  • (2)人差し指の腹で適度な圧をかけながら、10秒間程度押す
  • (3)10秒間ほど離した後、再度10秒間押す
  • (4)(3)を3~5回繰り返す

2-4.承泣(しょうきゅう)

承泣(しょうきゅう)とは、下まぶたの中央、瞳の真下に位置するツボです。

花粉症では、目元に症状が現れることも少なくありません。中でも目がかゆくなるケースは特に多く、「目を強くかきすぎてかすんでしまった・充血してしまった」という経験がある方もいるでしょう。

承泣のツボ押しは、目のかすみや充血、さらに疲れ目の緩和が期待できるとされており、花粉症による目元の症状に悩む方のほか、長時間のパソコン作業などで目を酷使する方にも人気です。

承泣の押し方
  • (1)両目(黒目)のすぐ下にある骨の縁の、ややくぼんだ部分に両手の人差し指をあてる
  • (2)痛みを感じない程度の優しい圧をかけながら、5秒間ほど目の奥に向かって押す
  • (3)ゆっくりと離して5秒間ほど置いた後、再度5秒間押す
  • (4)(3)を3~5回繰り返す

2-5.鼻通(びつう)

鼻通(びつう)とは、小鼻の付け根の両脇に位置するツボです。迎香の少し上に位置することから、「上迎香(じょうげいこう)」や「天迎香(てんげいこう)」とも呼ばれています。

迎香と同様、鼻づまりの緩和が期待できるツボであり、やや長めに・強めに押すことがポイントです。迎香とセットで行えば、花粉症による鼻づまりの解消がより期待できるでしょう。

鼻通の押し方
  • (1)小鼻の付け根の両脇にあるくぼみの部分に、両手の人差し指をあてる
  • (2)人差し指の腹で痛気持ちいい程度の圧をかけながら、10~15秒間程度押す
  • (3)10秒間ほど離した後、再度10~15秒間押す
  • (4)(3)を3~5回繰り返す

3.鍼灸・ツボ押し以外にも取り入れたい!花粉症の予防方法

鍼灸・ツボ押しは花粉アレルギーによる症状の緩和が期待できるものの、それだけでは「十分な予防」とは言えません。つらい花粉症を少しでも予防したいのであれば、日常生活において下記のような対策を講じることが大切です。

対策法 具体例
(1)体内への花粉の侵入を防ぐ
  • フィットするサイズの眼鏡・マスクを着用する
  • 花粉飛散の多い時間帯(昼間・夕方)の外出を避ける
  • テレワークをする
(2)室内への花粉の侵入を防ぐ
  • 肌の露出や花粉が付着しやすい素材(ウール素材など)の衣服の着用を避ける
  • 帰宅後の手洗い・うがいを徹底する
  • できる限り帰宅後に洗髪・洗顔をする
  • 洗濯物の外干しを控える
  • 換気方法を工夫する(窓を開ける幅の縮小・花粉対応給気口フィルターの活用など)

出典:環境省「花粉症対策 スギ花粉症について日常生活でできること」

くしゃみや鼻づまりといった花粉によるアレルギー症状が発生する前に、日頃から予防策を講じておくことで花粉症の影響を最大限抑えられます。そのためには、自身がどの花粉に対してアレルギー反応を引き起こすかも把握しておくとよいでしょう。

まとめ

花粉症シーズンは一般的に2月~4月にかけての時期が強くイメージされますが、実は花粉は年間を通して飛散しています。「通年病」とも言われつつある花粉症の主な症状は、くしゃみや鼻づまり、鼻水、目のかゆみです。

また、花粉症の一部は、鍼灸法が有効であるという研究データも公表されています。特にツボ押しにおいては、花粉による三大症状のほか、三大症状によって引き起こされる二次的な症状(頭痛や倦怠感など)の緩和にもアプローチできることが分かっています。

とは言え、鍼灸法だけでは花粉症を十分に対策しきれません。つらい花粉症を少しでも予防したいのであれば、日常生活におけるさまざまな対策法を講じることも大切です。ここまでの内容を参考に、ぜひ花粉症対策を行ってみてはいかがでしょうか。

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