女性鍼灸師の魅力|ニーズと活躍分野・女性鍼灸師になるメリットも
近年、鍼灸師を目指す女性は増えており、鍼灸師を目指す専門学校では男性よりも女性のほうが生徒の割合が高い学校もあります。鍼灸師と言えば男性、というイメージを持っている方もいるかもしれませんが、実際は女性も男性と変わりなく活躍できる職業です。
当記事では、女性が鍼灸師を目指すメリットや目指す方法、女性鍼灸師が活躍できる分野について詳しく解説します。手に職をつけたい方や、鍼灸に興味のある女性は当記事をぜひ参考にしてください。
1.女性も鍼灸師を目指せる!
鍼灸師とは、鍼と灸の施術を提供する職業です。鍼を行うはり師と、灸を行うきゅう師の両方の国家資格を取得した方が、鍼灸師と名乗れます。
主な施術内容は、お客様の悩みを聞き取り、鍼や灸でツボを刺激することです。鍼はステンレス製のはりを使用し、灸はよもぎなどを原料とするもぐさを使用します。
近年では、鍼灸師を目指している女性も少なくありません。施設ごとに多少の差がありつつも、鍼灸師を目指す学校の男女比は女性のほうが多いところもあります。
1-1.鍼灸師になるには?
鍼灸師になるには、はり師・きゅう師それぞれの国家試験を受け、鍼灸師免許を取得する必要があります。また、国家試験の受験要件として、認定された養成施設で3年以上学ぶことも求められています。
出典:職業情報提供サイト(日本版O-NET)「はり師・きゅう師」
鍼灸師の魅力は、男女問わず誰でも目指せる点です。女性特有の悩みを抱えているお客様もいるため、同性の鍼灸師による施術は高い需要が期待できます。
また、鍼灸師の資格制度は、視力に障害のある方に門戸が開かれていることも特徴の1つです。視力に障害のある方は、視力障害センターや盲学校で鍼灸師を目指すカリキュラムが提供されている場合があります。視力に障害があり、最終学歴が中学校卒業の方は5年以上学ぶと受験資格を得られます。
鍼灸師を目指す上で年齢的な制限もほぼありません。夜間部を設けている学校に入学すれば、他の専門学校や大学の卒業者、社会人として働いている方でも資格取得を目指すことができます。50代や60代で養成施設に入学する方もいます。
2.女性が鍼灸師を目指すメリットとは?
女性の就職・転職における選択肢として、鍼灸師は魅力的です。職業としての将来性があることのみならず、女性が活躍する場として複数のメリットがあげられます。
ここでは代表的な3つのメリット「生涯働くことができる」「女性に寄り添った施術ができる」「美容の分野でも活躍できる」について、それぞれ解説します。
2-1.生涯働くことができる
職場環境や、出産や育児など家庭での役割により、女性が長く働き続けることが難しい場合もあります。人材が豊富な職場なら、一度離職してしまうと再び働ける環境が整ったとしても、職場復帰が叶わないケースもあるでしょう。
その点、年齢に関係なく長く働きたい女性にとって、女性の就業者がまだ少ない鍼灸師はおすすめの職業です。鍼灸師は厚生労働省が定めた国家資格であり、国家試験に合格した資格取得者は、結婚や出産などの女性のライフステージに合わせて働けます。はりやきゅうの施術には強い力を必要としないため、本人の希望次第で出産直前まで働ける他、産後も早いうちに復帰できます。就業年数が長くなればそれだけベテランになり経験やスキルが身につき、いくつになっても長く続けられるでしょう。
2-2.女性に寄り添った施術ができる
生理痛や不妊、自律神経失調症や更年期障害による不調などのデリケートな女性特有の悩みに寄り添えることは、女性鍼灸師ならではの大きな強みです。
また、施術の際、部位によっては衣服を脱ぐ場合もあるため、女性鍼灸師が在籍する治療院に通いたいと思う利用者さんもいます。男性鍼灸師の多い職場では、女性鍼灸師の採用を積極的に行っているケースもあります。
2-3.美容の分野でも活躍できる
美容の分野に特化したサービスとして、女性を中心に美容鍼灸が注目されています。美容鍼灸とは、鍼や灸による刺激で体の内側から美を目指す施術です。肌に加えて、胃や腸など内側も含めた体全体のバランスを重視した施術を行います。
女性鍼灸師が美容鍼灸分野を学ぶと、同性ならではの着眼点を持ち、お客様の悩みや不安に寄り添いながら、丁寧な施術を行えるでしょう。あえて美容メニューに特化すると、独立開業時に地域の競合と差別化を図れるメリットもあります。就職や転職においても、美容分野の求人を選択肢に加えられる点は大きな魅力です。
3.女性鍼灸師が活躍できる分野
美容鍼灸の他にも、女性鍼灸師はさまざまな分野で活躍できる人材です。お客様の中には女性同士でなければ相談しにくい悩みを抱えている方もいます。就職・転職先を選ぶときは、自分が描く将来像に合う分野を選びましょう。
女性鍼灸師の主な活躍の場は、下記の5つがあげられます。
3-1.一般の鍼灸院・整骨院
代表的な活躍の場は、一般の鍼灸院や整骨院です。男性鍼灸師とともに、男女さまざまなお客様の施術を担当します。
一般の鍼灸院・整骨院と言っても、行われる鍼灸施術の方針は施設によってさまざまです。各鍼灸師に任せているところもあれば、施術所として全体の方針が明確に決められている場合もあります。
また、就職・転職先によって客層や身に付けられる技術が大きく変わることも特徴の1つです。極めたい分野がある方は、特定の施術に力を入れている鍼灸院や整骨院の求人を中心に探しましょう。
3-2.介護施設
近年注目されている鍼灸師の新たな活躍の場が介護施設です。高齢者の割合が多い現代日本において、体に負担の少ない鍼灸施術の需要は今後も高まっていくと見込まれます。
介護施設で働く場合、鍼灸師としての技術や知識を生かしつつ、新たに専門分野を広げることも可能です。たとえばケアマネジャーや機能訓練指導員になれば、介護に関わる人材としてよりキャリアアップできます。
ケアマネジャーは5年以上介護施設での業務経験があれば、受験資格を得られます。機能訓練指導員は受験の必要はないものの、該当施設で半年以上の機能訓練指導に関する実務経験が必要です。
人手不足が叫ばれる介護施設において、鍼灸施術以外の業務を担当できる人材に成長すれば、今後のキャリア形成や転職も有利に働きます。
3-3.美容鍼灸
前述の通り、美容鍼灸も注目を集めている分野の1つです。鍼や灸でツボを刺激して、体の内側から美を目指す施術は、西洋医学とは異なる魅力をもっています。
美容鍼灸の分野を目指す場合、就職・転職先のレディース鍼灸サロンによって定義が異なる点に注意しましょう。全身への施術を想定した美容鍼灸の他、顔のみ、または鍼のみをサービスメニューに取り入れていることもあります。
灸の施術を行う場合、きゅう師の資格が必要です。求人の募集資格ではり師のみ条件に提示されている場合、そのサロンでは鍼施術のみを行っている可能性があります。全身の施術や鍼灸両方の経験を積みたい方は、募集内容を隅々まで確認しましょう。
3-4.婦人鍼灸
月経時の痛みや周期の乱れなど、婦人系の悩みに特化した分野が婦人鍼灸です。
女性ならではの悩みは、専門家相手と言っても男性の施術者に打ち明けることをためらってしまう方もいます。女性専門施設や女性鍼灸師のいる院であれば、お客様も悩みや自らの抱える症状を打ち明けやすくなります。
また、婦人鍼灸は更年期特有の悩みにも対処できる分野です。若年層のみならず幅広い年齢層の女性を対象とした婦人鍼灸を極めることで、就職先の院やサロンの集客力アップにも貢献できます。
3-5.独立開業
鍼灸院や整骨院などなんらかの施設に就職し、同じ施設で働き続ける方もいるものの、経験を積んだ後に独立開業する方もいます。自分の施術方法や方針を自分で決められるのはもちろん、ライフサイクルに合わせて自由に受付時間を決められることが独立開業のメリットです。
独立開業する場合、本人の知識や技術に加えて経営に関するノウハウが求められます。働き手としてのみならず、経営者の観点からも院やサロンの運営を考える視野の広さも必要です。
また、独立開業するには、ある程度の資金も用意しなくてはなりません。施設の規模や設備によって変動するものの、300~500万円前後を目安に資金を集めるとよいでしょう。
4.女性鍼灸師の将来性
目指す方が多いことからも分かるように、女性鍼灸師は将来性がある職業です。女性鍼灸師の将来性を評価するポイントとして、下記の3つがあげられます。
- 世界的に東洋医学が注目を集めている
- 鍼灸師の活躍できる分野が増えている
- 女性が求められる機会が増えている
西洋医学とは異なるアプローチをする東洋医学は、世界的に高い注目を集めています。美容やスポーツなど、すでにさまざまな分野で鍼灸が取り入れられているケースもあります。
国内においても、女性鍼灸師が活躍できる場や需要は増加傾向です。介護施設や女性専用の美容鍼灸サロンなど、幅広い分野からの求人が見つかります。前述した5つの活躍の場のみならず、個人宅への訪問施術やスポーツ選手のサポートなど、ライフスタイルに合わせた働き方もできます。
より専門分野を極めたい方は、はり師やきゅう師以外の資格取得も目指すとよいでしょう。認定校では、はり師・きゅう師だけでなくあん摩マッサージ指圧師の受験資格を同時に取得できるところもあります。
他にも介護分野ではケアマネージャー、美容サロンではアロマセラピストなど、仕事内容に応じた必要資格を勉強すると、さらに活躍の場が広がります。
まとめ
女性鍼灸師は、一般的な鍼灸院や治療院のみならず、介護施設や美容分野、婦人鍼灸の分野でも活躍できます。女性の利用者さんの中には女性鍼灸師による施術を希望する方もおり、女性鍼灸師を雇用したいと考える鍼灸院もあります。鍼灸は今後も需要が高まることが期待されるため、女性鍼灸師もより活躍できると言えるでしょう。
鍼灸師になるには、養成施設で3年以上学んだ上ではり師・きゅう師の国家試験に合格する必要があります。資格取得までの工程に性別による差はなく、施術に強い力も必要としないため、女性でも目指しやすい職業です。
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