多彩な鍼灸師の就職先!活躍の場は広がっている
現代では、鍼灸師の活躍の場も増えています。鍼灸院だけでなく、美容業界や介護業界などでも、鍼灸師としての知識や技術は求められているのです。そのため、自分の将来像に合った就職先を探し、理想とする臨床を行う必要があります。さらに、鍼灸師以外の資格を取得しておくと、可能性はさらに広がるといえるでしょう。この記事では、鍼灸師の就職先について詳しく解説していきます。
☆多様な選択肢から選べる!現代の鍼灸師の就職先
昔は、鍼灸師の就職先というと、鍼灸院や鍼灸接骨院が一般的でした。しかし、現代では他の業界からのニーズも増えており、鍼灸師はさまざまな業界で活躍しているのが現状です。
鍼灸師が行っている鍼やお灸を用いた治療は、東洋医学の療法といわれています。これは、薬などを使って治療を行う西洋医学とは異なり、外から刺激を与え、全身のバランスを見ながら自然治癒力を高めていくものです。加えて、鍼灸治療では薬のない服を行わないという特徴があるため、子どもからお年寄りまで幅広い年齢の人が取り入れることができるといわれています。また、病気を未然に防ぐことができるという点も、東洋医学が海外からも注目されている理由のひとつといえるでしょう。
このように、鍼灸には健康な身体を維持する力があることから、現代の鍼灸師の就職先としては、選択肢が増えているといわれています。鍼灸師として活躍するためには、自分のスキルや興味範囲などに合わせて、将来のキャリアをしっかりと考えておくことが大切です。
☆鍼灸院・鍼灸接骨院
鍼灸師の伝統的・王道の就職先としては、鍼灸院・鍼灸接骨院が挙げられます。まず、鍼灸院に就職する場合は、鍼灸の勉強をしっかりとしておくことが必要です。鍼灸院では、開業している治療家の先生の考え方や置いている機械などによって、治療方針などが異なります。ただ、鍼灸院・鍼灸接骨院に就職すると、実際に活躍している鍼灸師のもとで働くことができるため、将来開業を目指している人にとっては経営ノウハウの勉強もできるという点がメリットといえるでしょう。
また、鍼灸接骨院の場合は、柔道整復師も働いています。鍼灸師と柔道整復師は免許を取得するまでのプロセスが似ていることから、しばしば混同されがちです。鍼灸師になるための国家資格としては、はり師・きゅう師の2つの資格を取得する必要があります。一方、柔道整復師の場合は柔道を起源とする治療法を用いており、打撲や捻挫、骨折などの治療を専門としている点が特徴です。柔道整復師の資格を取得している場合には接骨院や整形外科などに就職できる可能性もあることから、一般的に鍼灸師よりも就職の幅が広がるといわれています。
鍼灸接骨院に就職した場合、柔道整復師も働いているため、東洋医学をベースとした施術ができるとは限りません。そのため、実際に就職を決める前に、自分のやりたい仕事ができるかどうかや、就職先の施術方針などに関しても調べておくことが重要です。
☆病院・クリニック
鍼灸師の就職先には、病院やクリニックもあります。病院・クリニックの採用人数は決して多いわけではありませんが、東洋医学を取り入れている一部の病院・クリニックでは、鍼灸師の求人も見受けられるのが実情です。また、病院・クリニックのなかには「漢方内科」などを設けて、鍼灸師の求人を行っているケースも見られます。
鍼灸師が病院やクリニックなどに勤務すると、現行医療のなかで「患者がどのような治療を受けているのか」を実際に目にすることができるというメリットがあります。また、専門診療科で鍼灸師として働いていると、患者に対して具体的にどのような鍼灸治療をプラスできるのかなどもしっかりと考えることができるようになるでしょう。
さらに、鍼灸師が病院やクリニックで働くことは、チーム医療としてケアにあたっているということを意味しています。そのため、医師や看護師などのスタッフとかかわる機会も多く、鍼灸院や鍼灸接骨院などでは学ぶことができない技術や知識を得ることも可能です。病院・クリニックで働いている鍼灸師は待遇面も良く、また医師と一緒に働けるので鍼灸師としての学びにもつながるでしょう。
☆美容・リラクゼーション業界
美容業界に就職する鍼灸師は、増加の傾向にあります。以前は「鍼やお灸は高齢者がするもの」というイメージが持たれていました。しかし、現代では耳つぼなどのダイエットや美容健康法などにも鍼灸の知識が取り入れられており、安全な美容法として比較的若い世代からも注目されているといえるでしょう。
ただ、美容業界で鍼灸師が活躍しているケースは、現時点ではそれほど多いわけではありません。しかし、美容鍼灸を行うエステサロン一体型の鍼灸院は増えています。これらのエステサロンではリラクゼーションやアロマを取り入れている場合も多く、美容意識が高い女性からも注目されているといえるでしょう。
加えて、美容鍼灸は女性患者が多いという特徴があります。そのため、美容業界への就職は、女性鍼灸師には特におすすめの就職先です。
☆介護福祉業界
現代日本は高齢社会であるため、福祉・介護関連施設でも鍼灸院は活躍できます。たとえば、鍼灸師が機能訓練指導員として介護施設などの福祉施設に勤務するという道も考えられるでしょう。
機能訓練指導員とは資格の名称ではなく、介護保険領域のポジションのひとつを指しています。機能訓練指導員はリハビリ専門職(PT、OT、ST)や看護師、柔道整復師などの資格を取得している人のみが従事できるといわれています。加えて、特別養護老人ホームやデイサービスなどでは機能訓練指導員を1名以上の配置が定められていることからも、今後もニーズが高まるとも考えられるでしょう。
介護施設などで働いている機能訓練指導員は、日常の生活能力の向上を目指して、高齢者に対してリハビリ訓練を行っています。高齢者一人ひとりの目的や症状に合わせたプログラムに基づいて訓練を行うことが、機能訓練士の主な仕事です。鍼灸師の王道の就職先として知られている鍼灸院や鍼灸接骨院などとは業務内容は大きく異なります。しかし、介護業界という新しい分野で鍼灸師として能力が発揮できるという点で大きなやりがいが得られるでしょう。
☆スポーツ業界
スポーツ業界にも鍼灸師のニーズはあります。近年では、スポーツ選手のケガの予防やリハビリ、機能回復のための治療として、鍼灸を取り入れるケースが増えつつあるのが現状です。アスリートとして結果を残していくためには、体のコンディショニングに細心の注意を払う必要があるということはいうまでもありません。鍼灸を活用した治療は安全であることに加えて副作用が少ないという点も、鍼灸を支持するアスリートが多いことの理由といえるでしょう。
また、スポーツ業界で働いている鍼灸師のなかには、スポーツトレーナーとして活躍している事例も見受けられます。鍼灸の知識や技術だけでなく、スポーツの知識を持っていれば、スポーツトレーナーとしての就職も可能です。スポーツトレーナーになるために特別な資格は必要ありません。ただし、人間の身体の構造やトレーニング理論など、より専門的な知識が求められるといえます。
☆ダブルライセンスで可能性はさらに広がる
鍼灸師としての可能性を広げるために、ダブルライセンスも検討してみましょう。鍼灸師は注目が高い職業のひとつといわれていますが、採用状況に関してはそれほど良いとはいえません。そのため、鍼灸師の資格に加えて、自分が興味を持っている分野に関連している資格を取得しておけば、就職時にセールスポイントにもなります。
たとえば、美容業界で活躍したいなら、あん摩指圧マッサージ師の資格を持っておくと仕事の幅が広がります。また、鍼灸師としてスポーツ業界で働きたいなら、日本体育協会の「アスレティックトレーナー」や「ジャパン・アスレチック・トレーナーズ協会(JATAC)」などのスポーツトレーナー系の資格を取得しておきましょう。これらの資格があると、就職後にもアスリートに対して適切なケアができるようになるなど、実際の現場でも役立ちます。自分が進みたい業界によっては、関連資格を取得することでさらに可能性が広がるため、まずは「どのような鍼灸師になりたいか」という点をしっかりと考えておくことが大切です。
☆将来像に合わせてしっかりと学ぼう
鍼灸師として活躍が期待できる場は、鍼灸院や鍼灸接骨院だけに限りません。現代では、美容業界や介護業界、スポーツ業界などでも鍼灸師としての能力を発揮することはできます。ただし、就職先によって求められる業務内容や、身につけられるスキルは自ずと変わってきます。そのため、自分の将来像に合わせて就職先を選ぶことが大切です。
西洋の現代医学と比較してみると、東洋医学は現代の日本人にとってはなじみのない分野といえるでしょう。ゆえに、自分が鍼灸師としてどのような治療を行っていきたいのかをしっかりと考えて、鍼灸学生の頃から知識や技術をどんどん広げていくことが求められます。
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