鍼灸師になるには?どんな勉強が必要なの?
「鍼灸師」は社会貢献や、やりがいなどの要素をかね備えた国家資格であるといえます。鍼灸師の資格を取得するためには、専門学校や大学に通って国家資格の受験資格を得なければいけません。また、鍼灸の学校では西洋医学的知識をはじめとした、さまざまな勉学に励む必要があるため、決して楽な道のりとはいえないでしょう。しかし、道のりが険しい分だけ、資格取得後のやりがいも大きいです。ここでは、鍼灸師になるために知っておくべき、学費などの基礎知識や社会人にうれしい「給付金制度」などについて詳しくご紹介します。
☆鍼灸師の卵はどんな勉強をしているの?
鍼灸師になるためには、いくつかのステップをクリアしなければいけません。まずは、「所定の専門学校や大学に通うこと」です。鍼灸師の資格を得るためには国家試験に合格する必要があり、その国家試験を受ける前提として専門学校などでさまざまな分野の勉強をしなければいけません。なぜなら、専門学校で必要な勉強を終えることではじめて、国家試験の受験資格が与えられるからです。独学で勉強をしても、国家試験を受けることはできないことに注意しましょう。では、学校ではどのような勉強をするのでしょうか。
鍼灸師になるための専門学校で学ぶ分野として「解剖学」や「生理学」、そして「リハビリテーション医学」といった西洋医学的な知識があります。鍼灸というと東洋医学的な印象を受ける人も多いですが、実際は西洋医学的知識も欠かせません。もちろん、ツボや東洋医学の理論も勉強します。そして、そういった座学のほかに外せないのが実技面の授業です。また、鍼灸師として働いていくうえで知っておくべき関連法規や美容鍼灸についてなど、その他の多種多様な専門分野についても学ぶ必要があります。
☆国家試験の対策も必須
鍼灸師の専門学校を卒業すると、いよいよ国家試験です。鍼灸師資格を得るためには、この国家試験に通過しなければいけません。学校を卒業すると鍼灸師試験の受験資格が与えられるので、国家試験対策として勉強を重ねましょう。試験は毎年2月に実施されており、その内容は「筆記試験」です。専門学校で学んだ幅広い範囲から出題されるため、勉強の方法にも工夫が必要といえます。また、受験応募期間や必要書類の確認もれがないように念入りに準備を進めましょう。ちなみに、試験の合格率は例年70%台です。2018年2月に新卒で試験を受けた人の平均としては、はり師が「74%」、そしてきゅう師が「78%」の合格率となっています。
合格率からみると、弁護士など難関国家資格ほどの難しさはありませんが、合格するためにはまじめに勉強を続ける姿勢が不可欠です。70%の合格率は「30%の人は落第している」事実を表しています。試験に向けて油断せず、地道に勉強に励みましょう。
☆社会人に朗報!教育訓練給付制度について
鍼灸師の専門学校や大学に通うためには、先述のとおり決して少なくない費用がかかります。「費用面の不安により鍼灸師への第一歩が踏み出せない」という社会人の方にぜひ一度検討してもらいたいのが「教育訓練給付制度」です。専門実践教育訓練講座にあたる鍼灸の学校であれば、最大で168万円もの教育訓練給付金を受け取ることができます。この給付金制度を上手に活用すれば、鍼灸の学校に通うための資金面での負担を大幅に減らせるでしょう。注意したいのは、給付金を受けるためにいくつかの条件を満たさなければいけない点です。
専門実践教育訓練給付制度を利用するためにはハローワークに行くことなどのほかに、次の2つの条件のうちのどちらか1つをクリアする必要があります。1つ目は「在職者であること」です。専門学校に入学する日までに、通算で2年以上は雇用保険の被保険者であったことが求められます。もう1つの条件は「離職してから入学までの期間が1年以内の離職者」です。この場合でも、通算で2年以上は雇用保険の被保険者に該当していたという事実が必要となります。通学を検討している学校が専門実践教育訓練講座に該当するかも忘れずに調べておきましょう。
☆鍼灸の学校に入るのは難しい?
鍼灸学校に入学するためには、入学試験に合格しなければいけません。入試というと筆記試験や口述試験といった一般入試がイメージされがちですが、AO入試や社会人入試なども実施されています。鍼灸学校の入試では、数学や国語といった学科的な要素ではなく「面接」や「小論文(作文)」のできばえが重要視される傾向です。そのため、鍼灸の学校の入学試験対策としてはそういった方向性の対策をしっかりと行う必要があります。
また、一般入試の場合は学科試験もしっかりと実施されるところが多いため、一般入試を受ける人は受験する学校の学科試験について傾向と対策を練っておきましょう。過去問題集が手に入るのであれば一度は目を通しておくと安心です。気になる難易度は、それほど高くないでしょう。なぜなら、鍼灸を学べる学校が従前よりも増えたからです。
☆関連資格の勉強が必要になるケースも
鍼灸師の資格は、ほかの関連資格と組み合わせることで活躍の場が広がることがあります。ほかの関連資格とは、たとえば「あん摩マッサージ指圧師」や「柔道整復師」などです。鍼灸の学校に通う人やすでに鍼灸師として働いている人のなかには、将来的なニーズなどを見越してほかの勉強をはじめている人は多くいます。学校を卒業したあとの進路の幅を広げたいのであれば、在学中にほかの関連資格を取得してみるのもひとつの手です。なかには、鍼灸師とあん摩マッサージ指圧師の両方の受験資格を同時に取得できる学校もあります。
鍼灸師資格取得後の進路を具体的に思い描いたときに必要だと感じる資格があるのであれば、ダブルでの取得を検討してみましょう。同時期に2種類以上の資格を取得するためにはその分だけ一層の努力も必要になりますが、長い目で見るとプラスになるはずです。また、在学中に取得できなくても、鍼灸師として働きはじめたあとに取得を目指すのも1つの手段といえます。
☆一生勉強!だからこそやりがいがある
資格取得だけを目標にしてしまうと、取得後の勉強や実務に支障をきたす場合もあります。鍼灸師に限らずどのような資格についても言えることですが、資格取得はゴールではなくスタートです。取得した資格を活かして鍼灸師として活躍していくためには、資格取得後も地道かつ、まじめに勉強を続けていかなければいけません。常に好奇心や探求心を忘れずにスキルや知識を磨いていくことで、鍼灸師としてのレベルアップが叶います。鍼灸師としての勉強に活用したいのが「勉強会」や「講演会」です。
興味のある分野や、スキルアップを目指している分野について開催されているのであれば、参加を検討してみましょう。勉強会や講演会に参加することで、鍼灸師同士の横のつながりもできやすくなり、競争意識が生まれてスキルの向上にも磨きがかかります。
☆努力を重ねて鍼灸師として活躍しよう!
鍼灸師の資格を取得する過程では、習得すべき技術や覚えるべき知識の多さにくじけそうになることもあるでしょう。しかし、目指すゴールにたどり着くまでの道のりが長く険しいほど、達成したときの喜びもひとしおです。また、勉強することの多さはやりがいに直結するといえます。自分がまじめに勉強すればするだけ、将来鍼灸師として働きだしたときに、より多くの人の悩みを解消できる可能性が広がるとイメージしてみましょう。
自分の利益だけを目指すよりも、他者や社会への貢献を具体的にイメージしたほうが勉強のモチベーションがアップするかもしれません。ひとつひとつのステップを着実にこなし、関連資格との組み合わせによる可能性を広げ、鍼灸師としてのやりがいを追求しましょう。
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