美容鍼灸師になるために必要な資格は?資格の取得方法も解説

美容鍼灸師になるために必要な資格は?資格の取得方法も解説

美容鍼灸は、鍼灸の技術を用いて美容効果を追求する方法として注目されています。東洋医学の観点から、心身の健康が美容に直結すると考えられており、鍼や灸を使って自然治癒力を引き出し、美しい肌の実現を目指します。美容鍼灸を行うためには、国家資格であるはり師・きゅう師の資格が必要です。

本記事では、美容鍼灸師になるための必要な資格や、その取得方法について詳しく解説します。さらに、美容鍼灸師として活躍するために役立つ他の資格についても紹介します。これから美容鍼灸師を目指す方にとって、必要な知識と具体的なステップを提供し、キャリア形成をサポートします。

1. 美容鍼灸とは?

美容鍼灸とは、美容目的で鍼灸の施術を行い、悩みを軽減する方法です。

東洋医学では、美容の実現には肌表面に限った美しさではなく、心身の健康が欠かせないと考えます。皮膚組織は体内の健康状態や精神的な変化によって、多大な影響を受ける傾向にあるためです。

美容鍼灸では、施術によって心身を健康な状態に導くことで結果的に皮膚組織の改善を促し、美容の実現を目指します。鍼や灸を使って筋肉や血管、神経などをダイレクトに刺激して、血行の悪さや筋肉の凝りにアプローチすることで、肌本来の自然治癒力を高める効果が期待できます。

美容鍼灸で施術する部位は、顔周りだけではありません。脚のむくみや肩こり、冷え性などの体の状態を確認しながら全身のツボを刺激し、バランスを整えます。基本的に、心身を健康な状態に導くことを重視して施術を行うため、美容に関する多くの悩みに対応できることが特徴です。

2. 美容鍼灸師になるには鍼灸師の資格が必要

美容鍼灸師として活躍するためには、はり師・きゅう師の資格を取得する必要があります。

美容鍼灸師と一般的な鍼灸師では、取得する資格に違いはありません。はり師・きゅう師の資格はともに国家資格であり、取得せずに施術を行うことはできないため注意してください。

以下では、はり師・きゅう師の資格を取得する方法について詳しく解説します。これから美容鍼灸師として働きたいと考えている方は、情報を参考に資格取得を目指しましょう。

2-1. 鍼灸師の資格を取得するには?

鍼灸師として働くには、はり師ときゅう師の両方の国家資格を取得しなければなりません。

試験には受験資格が設けられており、鍼灸に関する専門課程がある以下の学校や養成施設を卒業することが求められます。

  • 文部科学大臣が認定した学校
  • 厚生労働大臣が認定した養成施設
  • 都道府県知事が認定した養成施設

基本的に、学校や養成施設では3年制以上のカリキュラムが組まれ、はり師・きゅう師の両方の内容を学習できます。そのため、卒業すると両方の受験資格が得られることが特徴です。

はり師ときゅう師の資格を取るには国家試験を2つ受ける必要がありますが、試験内容は一部共通しています。同時に受験する場合は、申請することで共通科目の試験が免除されるため、効率的に資格取得を目指せるでしょう。

はり師試験・きゅう師試験は年に1度、2月の後半に実施されます。どちらも筆記による試験であり、実技試験はありません。問題は四肢択一形式で出題され、60%以上の正解率で合格となります。

また、国家試験合格後、実際に鍼灸師として働くためには、公益財団法人東洋療法研修試験財団に登録を申請して免許証を受け取ることが必要です。

参考:公益財団法人東洋療法研修試験財団「試験概要」

参考:厚生労働省「はり師国家試験の施行」

参考:厚生労働省「きゅう師国家試験の施行」

鍼灸師国家試験の合格率・難易度とは|試験内容や勉強方法も解説

2-2. 鍼灸師資格は通信教育でも取れる?

鍼灸師として働くにあたり、通信教育で資格取得を目指したいと考える方もいるでしょう。

しかし、はり師・きゅう師の資格を通信教育で取得することはできません。なぜなら、受験資格として、3年以上の養成課程を修了することが義務付けられているためです。認定された学校や養成施設に3年以上通い、鍼灸師として活躍するための専門知識や技術を身につける必要があります。

ただし、中には夜間部を開設している学校や養成施設もあります。夜間部に通った場合でも、はり師・きゅう師の受験資格を満たすことが可能です。

そのため、社会人で働きながら鍼灸師の資格を取得したいと考えている方や、昼間に通学することが難しい方は、夜間部を活用して資格取得を目指すとよいでしょう。

参考:e-Gov 法令検索「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」

鍼灸師資格は働きながら取得できる?必要な学費や最短の年数を解説

最短で鍼灸師資格を得る方法とは|必要な学費や学校の選び方も解説

3. 美容鍼灸師がもっているとよい資格

美容鍼灸師として働くには、鍼灸の資格だけでなく、美容に特化した資格を取得することもおすすめです。資格を取得して美容分野の詳しい知識を身につけることで、利用者の不安解消やトラブル防止にも役立つため、美容鍼灸師としてより活躍できるでしょう。

ここでは、鍼灸師以外のおすすめの資格について、詳しく解説します。

3-1. あん摩マッサージ指圧師

あん摩マッサージ指圧師とは、あん摩やマッサージ、指圧などの施術技術や知識を認定する国家資格です。手や指などを使って刺激を与え、コリをほぐしたりゆがみを矯正したりすることで利用者の体を整え、痛みや疲れなどの症状緩和を目指します。

不調の改善やリラクゼーションを目的とした施術だけでなく、医師の指示にしたがってリハビリを行うこともあります。

あん摩マッサージ指圧師の資格を取得するためには、認定を受けた学校や養成施設で3年以上の養成課程を修了し、国家試験に合格することが必要です。試験は筆記形式で行われ、60%以上の正解率で合格となります。

参考:厚生労働省「あん摩マッサージ指圧師国家試験の施行」

3-2. AJESTHE認定エステティシャン

AJESTHE認定エステティシャンは、エステティシャンとしての知識や技術を認定する民間資格です。一般社団法人日本エステティック協会が発行する資格であり、一般財団法人日本エステティック試験センターで試験を実施しています。

受験資格は、認定校で300時間に相当する所定のコースを修了していること、もしくは、1年以上の実務経験が必要です。

試験内容は技術と筆記に分かれており、技術試験では手技の実演により技術力を確認します。筆記試験は四肢択一のマークシート形式で行われ、70%以上の得点で合格です。

合格後は、一般財団法人日本エステティック試験センターから発行された合格証をもとに、一般社団法人日本エステティック協会で資格の申請を行います。認定を受ける際は、正会員として一般社団法人日本エステティック協会に入会し、年会費を支払うことが必要です。

一般社団法人日本エステティック協会の入会金と年会費は以下の通りです。

入会金 22,000円(税込)
年会費 18,000円(不課税)

引用:日本エステティック協会「会員種別と入会手続き」

資格は、年会費を払うことで自動更新されます。

上位の資格には、「AJESTHE認定上級エステティシャン」「AJESTHE認定トータルエステティックアドバイザー」などがあります。資格取得条件がより厳しくなるため、上位の資格取得を目指すならAJESTHE認定エステティシャンとして活躍しながら実務経験を積むとよいでしょう。

参考:一般社団法人日本エステティック協会「資格・検定」

参考:一般財団法人日本エステティック試験センター「試験制度」

3-3. AEA認定エステティシャン

AEA認定エステティシャンは、一般社団法人日本エステティック業協会が認定している民間資格です。エステティシャンとして施術をするために必要な、基礎的な知識と技術力の証明になります。

資格の取得には、認定校で300時間相当のカリキュラムを履修するか、エステティックサロンなどで1年以上の実務経験を積む必要があります。

試験は、AJESTHE認定エステティシャンと同じく、一般財団法人日本エステティック試験センターで実施され、合格には70%以上の得点が必要です。発行された合格証をもとに、一般社団法人日本エステティック業協会に登録を申請することで資格を取得できます。

AEA認定エステティシャンの資格には年会費がかかりませんが5年ごとに更新が必要です。更新には費用がかかり、期間内に更新試験を受験する必要があるため注意してください。

一般社団法人日本エステティック業協会の登録料と更新料は、以下の通りです。

登録料 14,850円(税込)
更新料(5年ごと) 8,250円(税込)

引用:一般社団法人日本エステティック業協会「AEA認定エステティシャン登録申請方法」

引用:一般社団法人日本エステティック業協会「AEA認定資格をお持ちの方へ」

一般社団法人日本エステティック業協会には、「AEA上級認定エステティシャン」や「AEA認定インターナショナルエステティシャン」といった資格もあります。上位の資格になるほど受験資格として長い実務経験が求められるため、プロのエステティシャンとして実務経験を積みながら資格取得を目指しましょう。

参考:一般社団法人日本エステティック業協会「資格取得について」

参考:一般財団法人日本エステティック試験センター「試験制度」

まとめ

美容鍼灸師になるためには、はり師・きゅう師の国家資格を取得することが不可欠です。これらの資格は認定された学校や養成施設での専門的な教育と国家試験の合格が求められます。また、美容鍼灸師としての専門性を高めるためには、あん摩マッサージ指圧師やエステティシャンの資格取得もおすすめです。これにより、美容鍼灸の施術に対する信頼性を高め、より多くの顧客のニーズに応えることができます。

本記事で紹介した情報を参考に、必要な資格の取得方法や勉強方法を理解し、美容鍼灸師としての第一歩を踏み出しましょう。

関連記事Related Articles

鍼灸師の専門学校おすすめ7選!特徴や就職先・学校の選び方を解説

鍼灸師の専門学校おすすめ7選!特徴や就職先・学校の選び方を解説

鍼灸師(はり師・きゅう師)の仕事は、お客様のさまざまな悩みや不調に対して、直接手を動かして改善に導ける、やりがいのある職業です。鍼灸師は、腰...

鍼灸師について

知りたい!鍼灸師の免許を取得するには

鍼灸師の魅力は治療法に留まらず、高い将来性にあります。免許を取得することで、独立開業も可能です。統合医療としての認識も世界的に広がりをみせる...

鍼灸師について

鍼灸師の就職活動って?一般の学生とどう違うの?

人の心と身体を癒す職業として、多方面の業界から高い注目を集めている「鍼灸師」の仕事。手に職ともいえる鍼灸師の仕事は、一体どのような流れで就職...

鍼灸師について

教えて!鍼灸あん摩マッサージ指圧師試験の問題数や合格基準

鍼灸は中国の伝統医学として認められた医療技術の一つです。鍼や灸を用いてさまざまな疾病・疾患への治療、改善を促進するために日本でも数多くの鍼灸...

鍼灸師について
鍼灸師はフリーランスで働ける?必要な手続きや仕事探しの方法を解説

鍼灸師はフリーランスで働ける?必要な手続きや仕事探しの方法を解説

特定の企業や団体に所属せず、法人として独立しておらず、店舗を持たずに個人事業種として働く方をフリーランスと呼びます。鍼灸師は独立開業権を持っ...

鍼灸師について
鍼灸師として海外で働くには?必要な資格や収入・需要などを解説

鍼灸師として海外で働くには?必要な資格や収入・需要などを解説

鍼灸治療は起源を中国に持ち、世界各国で異なる形で発展してきました。 例えば日本の鍼灸師は専門的な教育を受け、国家資格を取得した上で鍼灸のみを...

鍼灸師について

【鍼灸師学校】夜間部について知りたい!

鍼や灸といった東洋医学を駆使して患者の治療を改善する「鍼灸師」は国家資格がなければ名乗れません。そのため、鍼灸師を目指す人は学校に通い、専門...

鍼灸師について
最短で鍼灸師資格を得る方法とは|必要な学費や学校の選び方も解説

最短で鍼灸師資格を得る方法とは|必要な学費や学校の選び方も解説

鍼灸師は、鍼(はり)と灸(きゅう)を用いた施術を行う専門職です。人体の不調の緩和・改善に努める医療技術職であり、鍼灸師として働くためには「は...

鍼灸師について