鍼灸師の平均年収は?給料形態や年収アップ方法も紹介

鍼灸師の平均年収は?給料形態や年収アップ方法も紹介

鍼灸師の平均年収は約350万〜500万円と言われています。ただし、鍼灸院などで雇われている場合・チェーン店の店長をしている場合・独立した場合など環境や立場によって年収は大きく異なります。

この記事では、鍼灸師の平均年収を就職先別に紹介した上で、福利厚生や、柔道整復師などの似た職業との年収差、年収アップの方法などを解説します。鍼灸師の仕事に関心のある方や、鍼灸師としての収入にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

1.鍼灸師の平均年収|就職先別の相場も

鍼灸師は、鍼灸院のスタッフとして勤務している人も入れば、独立開業している人もおり、実力や経験によって収入が異なります。固定給が多い傾向にありますが、中には歩合制を取るところもあります。

鍼灸師の平均年収と月給は以下の通りです。

平均年収 約350万〜500万円
月給 約18万〜30万円

鍼灸師は国家資格の専門職ですが、一般的な職業よりも給与水準はやや低めです。働き方により収入差が大きく、鍼灸院や介護施設で正社員として働く場合と独立開業した場合では倍ほど差が出ることもあります。

ここからは治療院・チェーン店院長・独立開業、それぞれの相場を紹介します。

1-1.治療院

治療院のスタッフの場合の年収相場と月給は以下の通りです。

平均年収(固定給の場合) 約350万〜400万円
月給 約18万〜25万円

治療院は平均一日10時間ほど開院しており、日曜・祝日が休みのことが多く、ほとんどの治療院がシフト制です。

年収は勤務先が固定給か歩合制かによって異なります。お客様からの指名が給与に反映される歩合制を採用している鍼灸院では、月収50万円に達する人もいます。

固定給では、経験年数や勤続年数で昇給する場合もあり、長く勤務することで給与アップが見込めるでしょう。

1-2.チェーン店院長

地域ごとや全国にチェーン店を展開している鍼灸院の店長の場合は、月収50万円以上の高収入を得ることが可能と言われています。チェーン店では定められた運営方式があり、経営の知識も独立開業する場合ほど高い水準である必要はありません。

しかし、鍼灸師の資格を取得した直後の未経験者や実務経験の浅い人がすぐに店長となるのは難しく、相応の実績と技術が求められます。部下の指導やトレーニング、マネジメントのスキルも必要です。

鍼灸師として高い収入を目指したいが、安定感も欲しいという方は、施術のスキルやマネジメントスキルを磨きチェーン店院長を目指すのもおすすめです。

1-3.独立開業

鍼灸師には、独立開業を視野に入れている人も多くいます。独立開業で成功すると、平均年収は700万円を超え、技術や経営能力によっては年収1000万円以上を目指すことも可能です。勤務時間や働き方を自分の裁量で決定できるので、自由度が高いのも特徴です。

さらに、在宅介護が増える中、訪問サービスの需要も高まっています。やり方次第で、初期費用を抑えた独立開業も可能です。

しかし、独立開業した場合は売上が収入に影響します。鍼灸の知識やスキルだけでなく、店舗運営の手腕も必要です。特に、集客には施術の料金設定がカギとなります。収益を上げるために料金設定を高くすると、価格競争で競合店に負けてしまいます。サービスの質とそれに見合った価格設定、競合店との差別化など固定客を獲得する工夫は必須です。

2.鍼灸師の福利厚生

鍼灸院・医療機関・サロンなどに勤める場合は、給与以外の待遇にも注目するとよいでしょう。雇用保険・労災保険・健康保険・厚生保険などの社会保険完備はもちろん、育休・産休制度、交通費の支給など一般的な福利厚生が整っている求人が多くあります。

中には、昇進祝いが支給されるところ、旅行や食事を割引価格で利用できるところなど、ユニークな福利厚生がある会社もあります。

鍼灸師として経歴を積むには、長く勤められる働きやすい職場探しが重要です。福利厚生以外にも手当・研修制度などにも目を向けることがおすすめです。

3.鍼灸師と近い職種の年収の差

鍼灸師と近い職種に、あん摩マッサージ指圧師や柔道整復師があります。

ここからは、鍼灸師とあん摩マッサージ指圧師、柔道整復師の年収差について説明します。あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師の仕事と年収は以下の通りです。

・あん摩マッサージ指圧師

手や指を用いた指圧・マッサージで体のコリをほぐしたり、歪みを矯正したりする施術を行います。年収は350万〜400万円です。

・柔道整復師

打撲、捻挫、脱臼及び骨折などの各種損傷に対して、外科手術、薬品の投与等の方法ではなく、手技を用いた徒手整復を行います。年収は350万〜450万円です。

あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師と鍼灸師の年収を比較すると、あまり変わらないということが見て取れます。しかし、柔道整体師は実務経験により給与が大きく変わるため、ベテランになると600万〜700万円ほど稼ぐ人もいます。

4.鍼灸師が年収アップを狙う方法

鍼灸師の給与が低いと感じる方もいるでしょう。しかし、鍼灸師は技力が収入に結びつきやすく、独立開業など働き方次第で年収アップも可能です。

代表的な年収アップの方法として以下の4つがあります。

  • 開業を目指す
  • 転職する
  • 周辺の資格を取る
  • 自分の強みを活かす

以下では、上記4つの方法について詳しく説明します。

4-1.開業を目指す

鍼灸師は、雇われていてはなかなか収入アップが望めません。独立開業して、年収1000万円以上を稼ぐ鍼灸師もいます。開業スタイルとしては、自分で店舗を構えるパターンと訪問治療を専門とするパターンがあります。

しかし、独立開業したからといってすぐに収入が上がるわけではありません。また、鍼灸師の資格を取得してすぐに独立開業するのは難しいでしょう。経験を積み、開業し経営が軌道に乗れば、雇われていた時よりも、大幅な収入アップが見込めます。

年収アップを目指すなら、独立開業を視野に入れるとよいでしょう。

4-2.転職する

すぐに収入アップを実現したい場合は、他の鍼灸院などに転職するのもおすすめです。現在の収入や働き方に満足できない時は、今よりも好条件のところへの転職を検討しましょう。

自分に合った鍼灸院を選ぶポイントは以下の3点です。

  • キャリアアップ制度が充実しているか
  • 福利厚生が充実しているか
  • 休みがきちんともらえるか

事前に職場見学ができる場合は、雰囲気などを確認し自分に合った職場を見つけましょう。

4-3.周辺の資格を取る

鍼灸師の資格だけでなく「あん摩マッサージ指圧師」や「柔道整復師」の資格も持っていると仕事の幅が広がります。

例えば、柔道整復師の資格を取得すると接骨院や整骨院で勤務できるだけでなく、ジムのスポーツトレーナーやパーソナルトレーナーとして活躍できます。あん摩マッサージ指圧師は、リラクゼーションだけでなく、美容関係の職場でのニーズもあり、介護の現場で「機能訓練指導員」としても需要が高く、注目されている国家資格です。

鍼灸師と関連する資格を組み合わせることで、「整復ができるスポーツ鍼灸師」、「リラクゼーション施術ができる美容鍼灸師」など、付加価値を与えることができます。幅広い施術に対応できる鍼灸師を目指して、他の資格の取得も視野に入れましょう。

4-4.自分の強みを活かす

鍼灸師は、経験や技術が収入に反映されやすい仕事です。そのため、自分の得意分野を、ニーズにマッチさせることでさらなる収入アップが期待できます。近年では、美容鍼灸、高齢者鍼灸など新しい分野へのニーズが高まっています。

美容鍼灸は、多数のメディアで紹介されSNSや芸能人からも注目を集めている施術です。エステ感覚で気軽に施術を受けられるため、今後も人気が続くと予想されています。女性鍼灸師の活躍の場としておすすめの分野です。

高齢者鍼灸は、高齢者の体調管理や関節などの痛みの緩和だけでなく、認知症ケアにも取り入れられています。高齢化が進む日本では、予防医学への関心が高く、将来性のある分野と言えるでしょう。介護の知識や構成者向けの施術を身につけると、鍼灸院だけでなく、病院や介護施設などでの勤務、訪問治療などさまざまな働き方ができます。

まとめ

鍼灸師の年収は、鍼灸院などで雇われているよりも、店長になったり独立開業したりするほうが高くなる傾向です。しかし、資格を取ってすぐに経営や開業をすることは難しいと言われています。自分がどのようなキャリアを描きたいかを考えた上で、鍼灸院などで経験を積むことが必要です。

鍼灸師が働きながら年収アップを狙う方法には、開業を目指してスキルアップを続けるほか、転職・周辺資格の取得・得意分野を伸ばすことなどが挙げられます。これから資格取得を目指す方のうち、年収が気になるという方は意識しておくとよいでしょう。

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