働きながらあん摩マッサージ指圧師の資格を取る方法!夜間部の特徴も紹介

働きながらあん摩マッサージ指圧師の資格を取る方法!夜間部の特徴も紹介

あん摩マッサージ指圧師は、国家資格が必要な職業の一つです。そのため、すでに社会人として働いている人の中には、あん摩マッサージ指圧師になりたいと思っていても、国家資格の取得が大きなハードルに感じられる方もいるでしょう。確かに仕事と並行しながら資格を取るのは簡単ではありませんが、社会人でもあん摩マッサージ指圧師を志すことは可能です。

当記事では、働きながらあん摩マッサージ指圧師の資格を取る方法について解説します。整骨院や鍼灸院、治療院などに転職を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

1. 働きながらあん摩マッサージ指圧師の資格を取るには?

あん摩マッサージ指圧師は国家資格であり、最低でも3年間は養成学校に通った上で、年に1回実施される国家試験に合格する必要があります。

あん摩マッサージ指圧師とは、東洋医学の知識に基づき、主に手や指で体を押す・揉む・叩くことで、痛みやコリの症状の緩和・改善を図る職業です。施術で器具を使用しないのが大きな特徴で、指圧やマッサージでお客様の血行改善や脊椎のゆがみの矯正などを行い、体の不調の緩和につなげます。

あん摩マッサージ指圧師の資格には年齢制限がなく、社会人でも十分に資格取得を目指せます。ただし、通信教育では資格を取得できません。

あん摩マッサージ指圧師資格は通信教育で取れる?学校の選び方も解説

2. 働きながらのあん摩マッサージ指圧師資格の取得方法(1)夜間部に通う

働きながらあん摩マッサージ指圧師の資格を取得するためには、専門学校の夜間部に通うのが現実的な方法と言えます。社会人の多くは日中に勤務しているため、仕事が終わってから専門学校に行き、あん摩マッサージ指圧について学んでいる方が多い傾向です。

では、あん摩マッサージ指圧師の専門学校の夜間部とはどのような場所なのでしょうか。以下で詳しく紹介します。

2-1. 夜間部の特徴

あん摩マッサージ指圧師の専門学校の多くは昼間部がメインですが、一部の学校では夜間部も併設しています。すべての専門学校に夜間部があるわけではない点には注意しましょう。

夜間部は通学する時間帯が異なるだけで、学べる内容は昼間部と同じです。また、夜間部には社会人が多く、中には学生の90%以上を社会人が占めているケースもあります。社会人で夜間部に通う方にとって、自分と同じように働きながら資格取得を目指す中で切磋琢磨できる仲間を見つけやすい点はメリットと言えるでしょう。

また、夜間部の学生は10代から60代まで年齢層が幅広いのも特徴です。老若男女を問わずさまざまな方と交流を持てるほか、就職や開業をした後の人脈づくりにもいい影響を与える可能性があります。

2-2. 夜間部のカリキュラム

あん摩マッサージ指圧師の夜間部のカリキュラムや学習時間の長さは、一般的に昼間部と同じです。3年かけて、あん摩マッサージ指圧師に必要な知識・スキルの基礎から応用までを習得するためのカリキュラムが組まれます。

学年ごとのカリキュラムの内容は主に以下の通りです。

1年次 学科・実技ともに、あん摩マッサージ指圧の基礎を徹底的に学びます。学科で主に学ぶのは、人体の構造や機能、経穴の名称や位置、東洋医学の基本的な考え方などです。実技では鍼の刺し方やお灸の据え方も練習します。
2年次 応用的な内容が中心で、さまざまな病気について知り、具体的にどのような施術を行うかを学びます。肩コリ・腰痛といったよくある症状への施術ができるように実技を練習します。
3年次 実践的な内容がメインとなり、さまざまなアプローチの施術方法を学びます。国家試験対策を行う学校もあります。

ただし、カリキュラムの詳細は学校によって異なるため、入学を希望する学校のホームページやパンフレットなどを確認しましょう。

2-3. 夜間部の授業時間

夜間部の授業は、平日の18~21時にかけて、毎日2コマ程度の講義が組み込まれるのが一般的です。そのため、仕事が終わってから学校に通う場合は、残業の有無や職場からの移動時間を考慮し、間に合うかどうかを事前に検討するとよいでしょう。入学前からの仕事を続ける方はもちろん、今の仕事を辞めて専門学校の近くに転居し、アルバイトなどをしながら資格取得を目指す方もいます。

夜間部の総授業時間は昼間部と同じですが、時間の使い方には注意が必要です。例えば、平日に授業を受けた後すぐに復習をすると、仕事・授業・自主学習を立て続けに行うことになり、オーバーワークになりかねません。復習のために睡眠時間を削れば、授業だけではなく日常生活にも支障をきたす恐れがあるため、体調管理を意識しながら学ぶことが大切です。

2-4. 夜間部の学費

専門学校の夜間部の学費は、入学金や授業料、施設管理費なども合わせて約330万~550万円が相場です。基本的に昼間部と夜間部で学費は大きく変わりませんが、専門学校によっては夜間部の学費を昼間部より低く設定していることがあります。教材費などが追加される場合もあるため、専門学校のホームページなどで費用の詳細は確認しておきましょう。

学費の負担が心配な場合は「教育訓練給付制度」を利用する方法もあります。教育訓練給付制度は、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講・修了した際に給付金が支給される制度です。専門学校が教育訓練給付制度の対象となっている場合もあるため、あらかじめ確認しておきましょう。中には奨学金制度や教育ローンを利用できる学校もあります。

出典:厚生労働省「教育訓練給付制度」

3. 働きながらのあん摩マッサージ指圧師資格の取得方法(2)国家試験を受ける

あん摩マッサージ指圧師の養成学校に3年以上通った次は、国家試験を受験する必要があります。あん摩マッサージ指圧師の資格試験が行われるのは毎年2月です。試験地は宮城県・東京都・愛知県・大阪府・香川県・鹿児島県で、視覚障害者の場合は各都道府県に試験会場が設置されています。

ここからは、あん摩マッサージ指圧師の国家試験の詳細を説明します。

出典:厚生労働省「あん摩マッサージ指圧師国家試験の施行」

3-1. 国家試験の試験内容

あん摩マッサージ指圧師の国家試験の試験科目は以下の通りです。

3 試験科目及び試験方法

(1)試験科目

医療概論(医学史を除く。)、衛生学・公衆衛生学、関係法規、解剖学、生理学、病理学概論、臨床医学総論、臨床医学各論、リハビリテーション医学、東洋医学概論・経絡経穴概論、あん摩マッサージ指圧理論及び東洋医学臨床論

引用:厚生労働省「あん摩マッサージ指圧師国家試験の施行」引用日/2024/7/28

試験方法は筆記のみとなっています。受験にあたっては、受験願書・写真・修業証明書などの提出や受験手数料の振り込みが事前に必要となるので、受験資格を失うことがないよう着実に手続きを行いましょう。

あん摩マッサージ指圧師国家試験は1問1点で、160点満点中96点以上で合格です。合格者は、3月末頃に厚生労働省や公益財団法人東洋療法研修試験財団のホームページで発表されます。

出典:厚生労働省「あん摩マッサージ指圧師国家試験の施行」

3-2. 国家試験の合格率

あん摩マッサージ指圧師国家試験の合格率は、令和5年度が84.0%、令和4年度が88.6%、令和3年度が84.7%でした。

あん摩マッサージ指圧師国家試験は平成4年度から実施されていますが、令和5年度までの間に合格率が80%を下回ったことはありません。同じく国家試験であるはり師試験やきゅう師試験では合格率が70%を下回った年もありますが、あん摩マッサージ指圧師試験は毎年受験者の8割以上が合格しています。

出典:公益財団法人東洋療法研修試験財団「過去の受験者数」

出典:厚生労働省「第31回あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師国家試験の合格発表について」

合格率が高いとはいえ、あん摩マッサージ指圧師試験の難易度が低いとは言い切れません。国家試験に合格するためには、必要な知識や技術を試験当日までにしっかりと身に付ける必要があります。

3-3. 国家試験の対策

あん摩マッサージ指圧師の国家試験に合格する確率を上げるには、学校での授業以外に、出題傾向に合わせた勉強をするとよいでしょう。プラスアルファの勉強方法として多くの学生が活用しているのが、過去の試験の問題集です。過去問題を解くことで出題傾向を把握できるほか、自分の弱点分野への理解も深めることができます。近年は国家試験対策アプリも登場しているため、スキマ時間の勉強に活用するとよいでしょう。

また、覚えるのが難しい解剖学や東洋医学などの分野は、具体的なイメージと一緒に記憶する勉強法がおすすめです。身近な人の体を観察したり実際に体を動かしたりして、イメージを掴みながら暗記すると覚えやすくなるでしょう。

まとめ

あん摩マッサージ指圧師は、自分の手や指を使って心身の不調を緩和する職業です。あん摩マッサージ指圧師の資格は、養成施設に通った上で国家試験に合格する必要があります。社会人として働きながら資格取得を目指す場合は、専門学校の夜間部に通い、国家試験に臨むパターンが一般的です。

専門学校の夜間部は社会人が多く、昼間と同じカリキュラムを仕事終わりに受けることが可能です。数百万円規模の学費がかかるため、経済的に不安を感じる場合は給付金や奨学金などの支援制度をチェックしましょう。

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