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膏肓(こうこう)はどんなツボ?ほぐし方と期待できる効果

膏肓(こうこう)はどんなツボ?ほぐし方と期待できる効果

デスクワークのような長時間同じ姿勢で仕事をする必要のある人や、育児に追われている主婦の人の中には、肩こりや背中の痛みなどに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。肩こりに効果的なツボはいくつかありますが、その中でも「膏肓(こうこう)」は肩甲骨の内側にあるツボです。膏肓のツボ押しは、五十肩や慢性的な肩こりに効果があると言われています。

この記事では、膏肓の位置や膏肓を自分でほぐす際のポイントについて解説するので、ぜひ参考にしてください。

1.膏肓(こうこう)とはどんなツボ?

膏肓(こうこう)は、肩や背中のこりに効くツボのことです。膏肓の位置は、おおよそ背中の中央部分、第5胸椎の下端と第6胸椎の上端の間に位置しています。

東洋医学では、「気・血・水」の3つがバランス良く体内を巡っている状態を健康的な状態であるとしています。

  • 気:生きるために最も必要なエネルギー
  • 血:血液
  • 水:血液以外の汗やリンパ液などの体液

気血の流れる通路が「経絡」です。経絡上の要所にある体表との開口部のことを「ツボ(経穴)」と言います。ツボは、不調の際は気血水が滞る場所です。病気などの治療点や、診断点としても機能する場所とされており、全身に約360個存在しています。ツボは臓器などのように実体はありませんが、効果のある位置や扱い方が確立されているのが特徴です。

ツボへの刺激は、主に鍼(はり)や灸(きゅう)といった方法で行われ、これによって気の流れを正常化し、身体のバランスを回復させることを目指します。東洋医学の伝統的な理論と実践に基づくツボの治療は、中国、日本、韓国などのアジア諸国で長い歴史を持ち、多くの人に受け入れられてきました。

1-1.膏肓(こうこう)の位置

膏肓の場所は背骨の中心部分から指4本分外側に動かした、肩甲骨の内部の筋肉上部や、筋肉の合間などに存在しているツボです。専門的な用語で説明すると、僧帽筋・大菱形筋・ 腸肋筋が重なる場所にあるとされています。

自分で膏肓を見つける時は、肘を内側に入れ、肩甲骨を外に開き、肩甲骨の上の角と下の角の真ん中あたりを探してみましょう。背中は自分の手では揉みほぐしにくいので、ほかの人にほぐしてもらうことがおすすめです。

1-2.膏肓(こうこう)に期待できる効果

膏肓のツボを押すことによって、期待できる効果は以下の通りです。

  • 肩こり
  • 五十肩
  • ぜんそくなどの咳
  • 背中の張りや痛み
  • 消化不良
  • ストレス
  • もの忘れ
  • 末梢の冷え

特に膏肓のツボ押しは、五十肩など肩周りの症状や腕の痛み、慢性的な頑固な肩こり、背中の張りや痛みの解消に、適していると言われています。

2.膏肓(こうこう)のほぐし方

肩甲骨に自分の手が届く人は、まずは気持ち良いと感じる部位を押してみましょう。手が肩甲骨に届かない人は、大きく腕を回すだけでも有効です。ほぐす際には、身体を温めるとより効果的です。身体を温めることで血行が良くなり、筋肉が緩みやすくなります。身体が冷えている状態でほぐすよりもマッサージ効果を高く感じられるでしょう。

確実に膏肓のツボを押してほぐしたい場合は、仰向けに寝転がり、テニスボールなどを肩甲骨の内側部分に当てながら少し動かすことで、膏肓がほぐれやすくなります。ほかにもツボ押し用具などを使用しながら、押すのも良いでしょう。

ただし、ツボを押している際に強い痛みを感じた場合は、ほぐされているのではなく、身体を痛めている可能性が高いので、すぐにやめるようにしてください。

膏肓は、一般的にほぐれにくいツボと言われています。もし自分でほぐすことが難しい場合は、家族やパートナーなど身近な人にツボを押してもらうこともおすすめです。

3.膏肓(こうこう)が痛い原因は?

膏肓が痛くなる主な原因は、首や肩などのこりが原因です。特に長時間のデスクワークや携帯電話の使用など、座ったまま同じ姿勢で作業をすることで、首から肩に負担がかかり、こりやすくなります。首のこりや肩のこりが蓄積されて、広範囲に広がり、最終的に肩甲骨に到達してしまうことで膏肓も痛くなります。

また、猫背の方や姿勢が悪い方は、肩甲骨付近の筋肉の動きが低下している傾向です。そのため、リンパの動きや血液の流れが悪くなっている場合があります。この場合、肩甲骨の筋肉にたまった老廃物の排出がうまくできなかったり、酸素の供給が順調でなかったりすることが原因で、肩甲骨周りがこってしまいます。

膏肓付近の痛みは、呼吸器系・消化器系など内臓の病気につながる恐れもあります。もし痛みが続く場合や、不安を感じる場合は早めに医療機関で受診するようにしてください。

4.膏肓(こうこう)以外にも!肩こりに効果的なツボ

肩こりに効果的なツボは膏肓以外にもあります。ツボをいくつか知っておくと、隙間時間などでツボを押すことでリフレッシュができるほか、ご家族や友人の方にも教えてあげることができます。ぜひ、以下の代表的なツボを覚えてみてください。

4-1.肩井(けんせい)

肩井(けんせい)は、肩こりに効果的なことはもちろん、頭痛などを緩和する効果も期待できるツボです。肩井は、首の付け根から肩先のちょうど間付近に位置しています。

ただし肩井は急所にもあたるツボと言われており、強い刺激を与えると脳貧血を起こす恐れがあります。そのため、ツボと反対側の手の中指、もしくは中指・人差し指・薬指の3本でゆっくり触るようにしてください。

4-2.肩中兪(けんちゅうゆ)

肩中兪(けんちゅうゆ)は肩こり以外にも、首の痛みや頭痛などにも効果が期待できるツボです。肩中兪は、後ろ肩の中心部にあります。具体的には頭を前に倒したときに首の後ろに出っ張る骨から、背骨をはさんで左右へ指2本分ほど離れた両側に位置しています。

右側の肩中兪をほぐす時は左手を、左側の肩中兪をほぐす時は右手を使用しましょう。指のお腹をフックのように肩中兪に当てて、力を入れると押しやすくなります。

4-3.天柱(てんちゅう)

天柱(てんちゅう)は肩こりに効果的なこと以外にも、頭痛や、慢性鼻炎・蓄膿症による鼻づまりを緩和させる効果が期待できるツボです。天柱は首の上のほうにあるツボです。頭の生え際と、首の中心線が交差する2本の太い筋肉に挟まれたくぼみから、左右親指1本分ほど外側にずれた場所に位置しています。

天柱をほぐす際は、両手の親指で頭を持ち上げるようにして天柱のツボを押しましょう。

4-4.手三里(てさんり)

手三里(てさんり)は肩こり以外にも、首のこりや寝違えなどにも効果が期待できるツボです。手三里は肘の近くにあるツボで、肘を曲げたときにできる腕の外側のシワから、指3本分ほど親指側にずれた場所に位置しています。

親指で気持ち良い程度に力を入れて押すとほぐれやすくなります。力強く押しすぎると筋肉痛のような痛みが発生してしまうため、力加減には気をつけましょう。

4-5.中府(ちゅうふ)

中府(ちゅうふ)は、肩こりや、咳・鼻づまりなどの呼吸器系の症状、食欲不振・嘔吐といった消化器系の症状にも効果が期待できるツボです。中府は、鎖骨外端の窪んでいる場所の指1本分下の場所に位置しています。

中府を押す際は、ツボと反対側の手の指を使います。呼吸に合わせて息を吐いたときに、気持ちよいと感じられる力加減で押すとほぐれやすくなります。

まとめ

肩こりの悩みを解決する方法の1つとして、膏肓をほぐすことが効果的です。また、膏肓以外にも肩井、肩中兪、天柱、手三里、中府といったツボも肩こり・首こりに効果的なツボです。身体を温め、血行の流れをよくしてからツボをほぐすと、よりほぐれやすくなります。

ただし、やみくもに強く押せば良いというわけではありません。強い力でほぐすと、かえって痛くなったり、だるくなってしまったりと、もみ返しが発生する恐れがあります。自分が気持ち良いと思える程度の力加減でほぐすようにしましょう。

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