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帯脈とは?期待できる効果・押し方・痛みがある場合の注意点を解説

帯脈とは?期待できる効果・押し方・痛みがある場合の注意点を解説

「体重がそれほど重いわけではないのにお腹がぽっこり出ている」「定期的な腰痛に悩まされている」という方は、腹筋が緩んでいる可能性があります。腹筋が緩んでいると内蔵が下りてくることから、お腹が出ているように見えたり、姿勢が変わって腰や肩などにも負担がかかったりするというしくみです。

緩んでいる腹筋に圧力を加えるためには、帯脈(たいみゃく)という東洋医学におけるツボを押して刺激するとよいとされています。そこで今回は、帯脈の基礎知識や帯脈への刺激で期待できる効果を紹介します。帯脈の押し方や、帯脈付近が痛む場合の対処法についても解説するため、ぜひ参考にしてください。

1.帯脈とは?

帯脈(たいみゃく)とは、脇のライン・おへその高さ(ウエストの最もくびれている部分)にあるツボのことです。腕を上半身に密着させたまま下ろして肘を90度に曲げたときに、肘と腰骨があたる部分が帯脈となります。

そもそも「ツボ」とは、長い歴史のある東洋医学にもとづいた療法の1つです。帯脈というツボは、東洋医学において腰や肩まわりの筋肉と関係性があるとされています。また、帯脈を押して刺激することによって、腹筋をはじめとした筋肉の血行促進やリラックス効果も期待できます。

ポッコリお腹や、腰・肩まわりの痛み、さらに便秘・下痢などお腹の不調に悩む方には特に人気のツボです。

2.帯脈への刺激で期待できる効果

帯脈への刺激によって期待できる効果にはさまざまなものがありますが、代表的な効果としては下記の4つが挙げられます。

  • 下腹のぽっこり感の軽減
  • 腰痛の改善
  • 肩の痛みの改善
  • 便秘の改善

なお、感じられる効果やその度合いは個人差があり、帯脈を刺激したすべての方が上記の効果を確実に得られるわけではありません。

ここからは、帯脈への刺激で期待できる効果について、それぞれ詳しく説明します。

2-1.下腹のぽっこり感の軽減

「大量に飲食しているわけでもなく、体重も特に重くないのに、いつも下腹あたりがぽっこり出ている」という方は、腹筋が緩んでいる傾向です。腹筋が緩むと内臓が下りてきて、常に食事後のようなポッコリお腹になってしまいます。

帯脈を刺激すると、緩んでいる腹筋に圧力をかけることが可能です。これにより、腰や臓器を支える腹筋や深部にある筋肉に働きかけられます。

筋肉の緩みが改善されれば、下りていた内臓を正しい位置に戻せるようになり、下腹のぽっこり感を軽減させられます。さらに、ポッコリお腹が改善されることで、姿勢バランスも良くなり、お腹から背中にかけての神経痛や凝りの軽減も期待できるでしょう。

2-2.腰痛の改善

帯脈への刺激は、腰痛の改善も期待できるとされています。実際に、鍼灸院や整体院・サロンなどでは、腰痛が腹部にまで響いているというお客さんに対して帯脈を刺激するケースも珍しくありません。

帯脈が腰痛の改善に効果的とされる理由は、「刺激によって腹筋や深部にある筋肉の血行促進を促すため」です。慢性的な腰痛の原因が筋緊張や筋肉の疲労による血行不良である場合、さらに血行不良からくる冷えの場合は、帯脈の刺激が効果的と言えるでしょう。また、内臓が下りていることによって腰まわりに負担がかかっていた場合、ポッコリお腹の改善とともに腰痛も和らぐ可能性があります。

腰痛改善が期待できるツボには、帯脈のほかにも「関元(かんげん)」があります。関元はおへそから親指3本分下あたりに位置するツボであり、腰痛をかばう姿勢をするために緊張していた筋肉を和らげるはたらきがあります。

2-3.肩の痛みの改善

肩の筋肉と帯脈は、深い関係性があるとされています。実際に鍼灸院や整体院などでは、「腕を上げると痛い」「肩こりの痛みがひどい」と訴えるお客さんに対して帯脈を刺激するケースがあります。

帯脈のツボの場所には、腕の動きに関与する腹斜筋や腹横筋、広背筋が連結しています。これらの筋肉が凝り固まっていると、腕を上げる際にお腹の横の筋肉がスムーズに伸びず、痛みが発生してしまいます。帯脈を刺激して固まった筋肉をほぐすことで、腕を上げた際の肩痛が軽減されるというしくみです。

人間の身体はこのように、痛みが生じている場所と離れた場所に原因があることも少なくありません。特に帯脈のツボの場所には体を動かすにあたって必要となる筋肉が多く存在しているため、腰痛・肩痛のほか首痛や頭痛といった悩みの改善も少なからず期待できます。

2-4.便秘の改善

帯脈を刺激することによって期待できる効果は、ポッコリお腹や姿勢バランスといった見た目や、腰痛・肩痛などの体の痛みだけではありません。実は、便秘・下痢といった悩みの軽減も期待できます。

帯脈を刺激することで、腸の蠕動運動を促進します。蠕動運動が促進されると腸内の不要物をスムーズに送り出せ、腸内環境にも良い影響をもたらすとされています。便秘がひどい場合、帯脈の刺激時には痛みや違和感を覚えることもありますが、蠕動運動をしっかり促進できれば便秘や吐き気といったお腹の不調の改善が期待できるでしょう。

なお、便秘を改善するツボには帯脈のほか、おへそから親指3本分下あたりに位置する関元や、おへそから親指3本分外の左右に位置する「天枢(てんすう)」、さらに天枢の親指3本分下に位置する「大巨(だいこ)」なども挙げられます。

3.帯脈の押し方

ポッコリお腹や慢性的な腰回り・肩回りの痛みを予防するセルフケアとして、自宅で帯脈のツボ押しをしたいという方も多くいるでしょう。帯脈をはじめとしたツボは、基本的に指の腹を使って押します。指の腹を使えない場合は、ペットボトルのキャップや角でも効果的です。

また、帯脈を刺激するときは単純に指で押せば良いというわけではありません。下記に示す帯脈の押し方を参考に、ゆっくりと始めてみましょう。

  • (1)左右両側の帯脈に両手それぞれの親指を優しくあてる
  • (2)帯脈を挟むようにゆっくりと押した後、再度ゆっくり戻す
  • (3)上半身を左に倒す
  • (4)左側のツボをやや強めに押した後、ゆっくり戻す
  • (5)上半身を右に倒す
  • (6)右側のツボをやや強めに押した後、ゆっくり戻す

帯脈のツボ押しは、心身ともにリラックスした状態で行うことが大切です。事前に深呼吸を数回繰り返すと、全身に酸素が行き渡ってリラックス状態に入りやすくなります。

また、帯脈のツボを押す回数は「2~3回」、強さは「気持ちいい~痛気持ちいい」程度にとどめておきましょう。

4.帯脈付近の痛みは要注意|受診の目安も

帯脈付近のツボ押しをした際に痛む場合や、そもそもツボ押しをしなくても帯脈付近に痛みが生じている場合は、何らかの病気が隠れている可能性があるため注意が必要です。

ここでは、帯脈付近に痛みが生じている場合に考えられる疾患と、それぞれの病院を受診する目安について紹介します。

痛みのポイント 考えられる疾患 受診目安
右下腹部が痛む 盲腸(虫垂炎)
  • 食欲不振やお腹の突っ張り、発熱が伴う
脇腹が痛む 尿路結石
腎盂腎炎
  • 片側の脇腹のみ激しく痛む
  • 血尿や吐き気が伴う
下腹部が痛む 婦人科疾患
大腸がん
  • だんだん痛みがひどくなっている
  • 下腹部にしこりがある
上腹部が痛む 急性胆のう炎・胆管炎
  • 右季肋部痛がある
  • 悪寒・発熱・嘔吐を伴う
みぞおちが痛む 急性膵炎
  • 飲酒量が増えた
  • 背部の痛みや発熱が伴う

上記の受診目安はあくまでも目安です。日常生活に支障をきたすほどの激しい痛みが生じている場合は、症状が進行している可能性もあります。そのため、「程度は軽いものの、痛みが数日間続いている」という段階でも、なるべく適切な診療科を受診することが大切です。

また、体の不調が生じている場合は、無理して帯脈のツボ押しを続ける必要はありません。何らかの病気が原因で腰痛や腹痛が起きている場合は、ツボ押しをしても症状が改善されることはないためです。むしろ体に負担をかけてしまうこととなるため、少しでも不調・不安を感じた際はできる限り早い段階で医師に相談し、専門家による適切な治療を受けましょう。

まとめ

帯脈(たいみゃく)とは、脇のライン・おへその高さにあるツボのことであり、腕を下ろして肘を90度曲げたときに、肘と腰骨があたる部分を指します。帯脈への刺激によって期待できる効果には、下腹のぽっこり感の軽減や腰痛・肩の痛み・便秘の改善が挙げられます。

帯脈を刺激するときは、指の腹を用いて両側からゆっくりと挟むように押し込みます。このとき、リラックス状態に入っているかどうかが重要となるため、事前に深呼吸を数回繰り返すなどして心身ともに力を抜いておきましょう。

なお、帯脈のツボ押しで痛む場合や、そもそも刺激を加えなくても帯脈付近が痛む場合は、何らかの病気が隠れている可能性があります。体の不調・不安を感じているときは、無理に帯脈を刺激せずなるべく早い段階で病院を受診し、専門的治療を受けましょう。

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