• HOME
  • 症状別
  • 鍼灸治療による肩こりへの効果は?肩こりの原因や施術頻度も解説

症状別

鍼灸治療による肩こりへの効果は?肩こりの原因や施術頻度も解説

鍼灸治療による肩こりへの効果は?肩こりの原因や施術頻度も解説

鍼灸治療は、古代中国から伝わる伝統的な治療法で、鍼と灸を用いて身体の特定の部位に刺激を与える治療です。肩こりの治療において、鍼灸は多くの人に効果的とされています。

肩こりの主な原因の1つは、肩や首の筋肉の緊張です。長時間のデスクワークや悪い姿勢、ストレスなどが原因で筋肉が硬直し、痛みや違和感を引き起こします。鍼を刺すことで、筋肉の緊張をほぐし、血流の促進にアプローチすることが可能です。

当記事では、肩こりの鍼灸治療について分かりやすく紹介します。

1.肩こりの原因とは?

長時間同じ姿勢を取り続けることや、無理な力の入れすぎなどで、肩周辺の筋肉が過度に疲労すると、筋肉がこわばって痛みを感じるようになります。

また、肩周辺の筋肉が過剰に緊張し、血液の循環が悪くなる血行不良を起こします。筋肉に十分な酸素や栄養が行き渡らず、筋肉がこわばって痛みが生じるメカニズムです。

以下では、肩こりの原因となる各種ストレスを3つ紹介します。

1-1.肉体的ストレス

肉体的ストレスを感じると、交感神経が優位になり、筋肉が緊張します。緊張した筋肉は血流を阻害し、酸素や栄養素が不足した状態になります。これが、筋肉痛や疲労感、肩こりの原因となります。

また、肉体的労働や運動不足などによる筋肉の疲労も、肩こりの原因です。筋肉が疲労すると、老廃物が蓄積し、筋肉が硬くなりやすくなります。また、疲労した筋肉は血流も悪くなり、さらに肩こりを悪化させてしまいます。

1-2.精神的ストレス

自律神経の乱れは、肩こりの原因の1つです。

精神的ストレスを感じると、交感神経が優位になります。交感神経が優位になると、心拍数や血圧が上昇し、筋肉が緊張しやすくなります。

他にも、仕事や人間関係などによる慢性的なストレスは、心身ともに疲労を蓄積させ、肩こりを悪化させます。ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されると、筋肉が緊張しやすくなったり、痛みを感じやすくなったりするなど、肩こりに悪影響を及ぼすので注意が必要です。

1-3.環境的ストレス

環境的ストレスの例としては、主に以下の2つが挙げられます。

・生活環境

例えば、電車や車、飛行機などの乗り物による振動は、身体への負担となり、筋肉を緊張させる要因です。他にも、室温や湿度が適切でない環境は、身体が体温調節にエネルギーを使い、疲労蓄積につながります。

・仕事環境

デスクワークなど長時間同じ姿勢でいると、血流が悪くなり、筋肉が緊張します。また、パソコンやスマートフォンの画面を見続けることで、頭痛、肩こり、眼精疲労などを引き起こす場合もあります。

2.鍼灸治療による肩こりへの効果

近年では、鍼灸治療の肩こりへの効果を検証した臨床研究も行われており、その有効性が一定程度示されています。

出典:公益社団法人 日本鍼灸師会「鍼灸の基礎知識」

以下では、鍼灸治療がなぜ肩こりに対して効果があるのか、3つの理由を解説します。

2-1.筋肉の緊張が緩められる

鍼が皮膚や筋肉の中に刺さることで、微小な傷ができ、身体がその修復を試みるために血液を送り込みます。局所的な血流が増加し、血流が改善されることで、酸素や栄養が筋肉に十分に供給され、老廃物が取り除かれやすくなります。これが、筋肉の緊張を緩めるメカニズムです。

また、鍼灸治療は、肩こりの根本的な原因である深層筋の緊張を緩める効果があります。肩こりがマッサージなどでは根本的に改善しにくいのは、表層の筋肉ではなく、姿勢を維持する役割を持つ深部の筋肉が肩こりの原因であることが多いためです。表層の筋肉は運動による筋肉痛や軽度の肩こりに対しては効果的ですが、一般的な肩こりの治療には深層筋へのアプローチが必要です。鍼治療は、筋肉のこりの核となるポイントを直接刺激し、血流を促進して筋肉の緊張を和らげます。

2-2.血流の改善が期待できる

鍼を刺すことで、筋肉の緊張をほぐし、血流を促進します。筋肉が緊張していると、血管が圧迫されて血流が悪くなります。鍼灸治療によって筋肉が緩むと、血管の圧迫が解消され、血流の改善にアプローチすることが可能です。

そもそも血流とは、血液が体内を巡る仕組みのことです。血液は、心臓から送り出されて、動脈、毛細血管、静脈を通って、再び心臓に戻ってくる循環運動をしています。血液は、体内の隅々に酸素や栄養素を運搬し、老廃物や二酸化炭素を回収する役割があります。

また、自律神経やホルモンを司る経絡が集まっている場所が、いわゆる「ツボ」です。鍼灸治療によってこれらのツボを刺激することで、自律神経やホルモンのバランスが整い、血流が改善されます。

2-3.自律神経の調整につながる

ツボを刺激することで、脳や脊髄に信号が伝わり、自律神経のバランスを整えることが可能です。前述の通り、ツボには、自律神経を司る経絡が集まっています。鍼灸治療によってこれらのツボを刺激することで、自律神経のバランスが整い、心身がリラックス状態になるでしょう。

また、鍼を刺すことで、脳内物質であるエンドルフィンの分泌を促せます。エンドルフィンは、痛みを抑制したり、リラックス効果をもたらしたりする作用があるホルモンです。

花粉症には鍼灸が対策につながる?鼻づまりやアレルギーに効くツボ

腰痛に鍼灸は効果的?おすすめのツボや施術の流れについて

3.肩こりの鍼灸治療は痛い?気持ちいい?

肩こりの鍼灸治療に関して、痛みの感じ方や心地よさは個人によって異なります。しかし、多くの場合、注射のような痛みではなく、じんわりした軽い痛みのような、比較的穏やかな刺激と表現されます。

鍼灸で使用する鍼は非常に細く、医療用の注射針よりもはるかに細いです。そのため、鍼が刺さる際の痛みはほとんど感じないか、感じてもわずかなチクッとした感覚程度です。また、鍼が適切に刺さると、ほとんどの人は痛みを感じなくなります。

ただし、首や肩などの筋肉が密集している場所は、痛みをやや感じやすい傾向です。また、ツボと呼ばれる経穴を刺激する場合も、痛みを感じることがあります。特に痛みに敏感な人や鍼治療に慣れていない人は、最初は不快に感じることもあるかもしれません。

基本的には、施術を重ねるうちにリラックスできるようになり、心地よさを感じやすくなる人が多いです。また、鍼灸師の技術や経験によっても治療の感覚は異なるため、腕のいい信頼できる鍼灸師に相談することが大切です。経験豊富な施術者であれば、的確な場所に鍼を刺すことができるため、痛みをできる限り抑えられるでしょう。

鍼が刺さった後、多くの人が感じるのはリラックス感や心地よさです。鍼が筋肉の緊張を緩め、血流を改善することで、身体が温かくなる感覚や軽くなる感覚を覚えることがあります。また、鍼を刺すことでエンドルフィンが分泌され、自然な鎮痛効果とリラクゼーション効果が得られるため、多くの人が治療後に心地よさやリフレッシュ感を感じます。

4.肩こりの鍼灸治療の流れ

肩こりの鍼灸治療の頻度は、個々の症状や体質によって異なります。一般的には、初期段階では、症状の改善を早めるために週に1~2回の施術が推奨されます。症状が軽減し始めたら、施術の間隔を徐々に延ばし、月に1~2回程度に減らすことが一般的です。慢性的な肩こりの場合は、定期的なメンテナンスとして月に1回程度の施術を続けるとよいでしょう。

鍼灸施術を受ける際の一般的な流れは、以下の通りです。

1.問診

施術の前に、鍼灸師は患者の症状や健康状態について詳しく尋ねます。問診では、肩こりの原因や日常生活の習慣、既往歴などが確認されます。

2.触診

次に、鍼灸師は肩や首の周りを触診し、筋肉の硬直具合や痛みの原因となる点を確認します。

3.施術

鍼灸師は、問診と触診の結果を基に、肩周りの筋肉やツボに鍼を刺します。鍼は非常に細く、刺す際の痛みはほとんど感じません。鍼を刺した後、数分から20分程度そのままにすることで、血流が改善し、筋肉の緊張が緩和されます。

鍼灸施術の実際の流れや頻度は、個々の症状や体質に合わせて異なります。施術の内容や頻度について不安がある場合は、事前に鍼灸師に確認することが大切です。信頼できる鍼灸師としっかりとコミュニケーションを取ることで、安心して施術を受けられます。

まとめ

鍼灸治療では、特定のツボに鍼を刺すことで血流を促進し、筋肉の緊張を和らげることができます。鍼が皮膚や筋肉に刺さると、その部分で微小な炎症反応が起こり、身体は修復のために血液を集めます。これにより、酸素や栄養が筋肉に供給されやすくなり、老廃物が除去されるため、筋肉のこりが緩和されるメカニズムです。

鍼灸治療による痛みは、個人差が大きく、一概には言えません。しかし、多くの場合、注射のような鋭い痛みではなく、比較的穏やかな刺激と表現されます。

関連記事Related Articles

美容鍼は本当に痛い?その理由や痛みの感じやすい箇所・対策を解説

美容鍼は本当に痛い?その理由や痛みの感じやすい箇所・対策を解説

美容鍼は、肌のトラブルや美容の悩みに対する効果が期待される施術方法です。しかし、「美容鍼は痛い」というイメージから施術を躊躇する人も多いので...

鍼灸について
鍼灸におけるツボ一覧!悩み別にアプローチできる全身のツボと効果

鍼灸におけるツボ一覧!悩み別にアプローチできる全身のツボと効果

鍼灸とは、専用の鍼(はり)や灸(きゅう)を用いて体表にある経穴に物理的な刺激を与えるというもので、東洋医学の伝統的な施術の1つです。経穴はい...

症状別
円皮鍼の効果は?使用方法と注意事項についても解説

円皮鍼の効果は?使用方法と注意事項についても解説

鍼施術に興味がある人の中には、「円皮鍼」というものを耳にしたことがある人もいるでしょう。円皮鍼は鍼の一種であり、シール状になっている鍼を肌に...

鍼灸について
花粉症には鍼灸が対策につながる?鼻づまりやアレルギーに効くツボ

花粉症には鍼灸が対策につながる?鼻づまりやアレルギーに効くツボ

花粉症とは、鼻腔内に侵入してきたスギ・ヒノキといった植物の花粉に対する免疫反応によって生じるアレルギー症状のことです。「季節性アレルギー性鼻...

症状別

鍼灸治療には必要不可欠!施術に役立つ針の知識を徹底紹介!

針は鍼灸治療には欠かせないアイテムのひとつですが、この針がどのような効果をもたらすのか、どのように扱うのが正しいのかを把握していないと正しい...

鍼灸について
鍼施術は薄毛に効果的?薄毛の原因と鍼施術の注意点も解説

鍼施術は薄毛に効果的?薄毛の原因と鍼施術の注意点も解説

薄毛への対処法の1つとして、鍼施術が挙げられます。しかし、鍼での施術を受けたことがないという人は、本当に鍼が効果的なのか、どのような施術を行...

症状別
鍼灸は体質改善に効果的?鍼・灸の効果がある適応症を解説

鍼灸は体質改善に効果的?鍼・灸の効果がある適応症を解説

鍼灸は東洋医学の伝統的な施術方法であり、効果を発揮するメカニズムや、効果のある症状については現在は十分に分かっていません。ただし一般的に、鍼...

鍼灸について
鍼治療における好転反応とは?副作用との症状の違いや注意点を解説

鍼治療における好転反応とは?副作用との症状の違いや注意点を解説

鍼の施術において好転反応とは、施術による回復の過程で発生する、軽症・一過性かつ後遺症がないきわめて軽い副作用を指す言葉です。東洋医学では瞑眩...

鍼灸について