知っておきたい鍼灸師の年収!開業で高収入を狙えるのは本当?

「鍼灸師の資格を取る前に、平均年収や、開業で成功すれば高収入を狙えるのか知りたい」という人は多いのではないでしょうか。一般的に、鍼灸師の平均年収は、高いものではないといわれています。しかし、しっかりと知識や技術をもって開業すれば、高収入を得ることができる可能性があるのです。開業は大きなリターンが期待できますが、同時にリスクが伴います。鍼灸師として開業し、高収入を狙うためにはどうすればよいのか見ていきましょう。

 

☆鍼灸師の年収はどれくらい?

鍼灸師には2つの働き方があります。治療院などで働く勤務鍼灸師と、独立開業して自分でクリニックを運営している鍼灸師です。鍼灸師は各々の技術や経験によって収入が変わります。
勤務鍼灸師の平均年収は250~450万円ほどです。月給だと15~25万円ほどになります。一般的には、実務経験を積むほど給料が上がっていきます。
勤務鍼灸師の給料は、毎月決まった額がもらえる「固定給」のところが多いですが、働いた分だけ給料が増える「歩合制」を採用しているところもあります。歩合制の場合は、鍼灸師としての経験や信頼を積み、多くの患者を担当できるようになることが大切です。そのため、鍼灸師としての技術に加えて、患者とのコミュニケーションが重要になります。
ほかにも、チェーン展開している鍼灸院の院長クラスになれば、月給50万円以上を得ることができるといわれています。当然、しっかりと実務経験を積まなければなりませんが、能力が認められて院長に就任できれば、高収入が期待できます。

 

☆鍼灸師の給料は高いの?他の資格との年収差は?

同じ治療業界の職業に、「あん摩マッサージ指圧師」や「柔道整復師」、「整体師」があります。
あん摩マッサージ指圧師の平均年収は300~400万円ほどです。鍼灸師と同じく、勤務年数や経験とともに給料が上がっていきます。治療院やマッサージ店で働く場合、顧客からの指名数が給料に大きく関わってきます。人気のマッサージ師は、月収50万円越えることもあるようです。訪問マッサージサービスがある場所に勤務している場合は、基本給に加えて歩合制が加わることが多いです。
柔道整復師は、治療業界の中でも実務経験が給料に大きく関係する職業です。接骨院や整形外科に勤める柔道整復師の場合、新人時代は平均年収350~450万円ほど、ベテランになると600~700万円ほどになります。30歳代の基本給は20~26万円ほどで、この額に実績や経験の手当が加算されて、月収は30万円前後になるようです。また、接骨院では歩合制を採用しているところも多く、担当する患者との関わり方で給料が変わってきます。
整体師の主な勤務先は、整体院やリラクゼーション施設です。整体院に勤務する整体師の月収は15~20万円ほどで、平均年収は200~300万円程度になります。リラクゼーション施設は固定給に加えて歩合制を取り入れているところが多いため、個人によって収入に大きな差があります。
鍼灸師の平均年収は250~450万円ほどなので、比較すると柔道整復師のほうが年収が高くなる傾向にあるようです。

 

☆年収1000万も狙える?資金を貯めて開業を目指そう

鍼灸師で高収入を目指すなら、開業は必須といえるでしょう。鍼灸師は、はり師・きゅう師の国家資格を持ってさえいれば、開業することが認められています。開業資金や実務経験の問題をクリアできれば、自分のタイミングで開業することができるのです。治療院の経営が成功すれば、年収1000万円も夢ではありません。鍼灸院などで経験を積みつつ、独立を視野に入れて働きましょう。
しかし、独立開業はリターンが大きい分、リスクが高い面があります。自分で治療院を経営するとなれば、鍼灸の技術や知識だけでなく、経営の手腕も必要になります。鍼灸師が開業をした場合、売上の中から光熱費や家賃、その他の経費を捻出します。そこから自分の取り分を決めていくので、治療院の営業は、売上に大きく影響されるといって良いでしょう。治療の料金を高く設定すればそれだけ収入は増えますが、あまりに高すぎれば顧客がほかの治療院に流れてしまいます。細かな料金設定と良質なサービスが成功のカギとなるのです。
リスクが伴いますが、成功すれば勤務鍼灸師よりも高収入を得ることが可能です。しっかりと準備した上で、独立を目指しましょう。

 

☆開業費用に関わる?鍼灸師の開業スタイルについて

鍼灸師の開業スタイルとしては、自分で店舗を構えるパターンと、訪問治療を専門とするパターンの2つがあります。
店舗を構える場合、細かい規定を理解し、必要な届け出をする必要があります。治療院などの施設には構造・設備基準が設けられていて、その基準を満たしていなければ、店舗を開くことができないのです。例えば、鍼灸治療を行う施設の場合、6.6平方メートル以上の広さを持つ専用の施術室と、3.3平方メートル以上になる待合室が必要になります。
また、鍼灸院を開業したら、10日以内に店舗の所在地である都道府県知事に開業届を提出しなければなりません。開業者の氏名、住所から、業務の種類や店舗の構造設備の概要まで、様々な書類が必要になるのです。独立する前に、ルールを把握しておくことが大切です。
訪問治療を主な業務として開業する場合、店舗を持つことがないのでテナント代などの費用が節約できるといったメリットがあります。自分のスタイルに合った開業方法を検討しましょう。

 

☆スキルは多いほうがいい?専門性を高めて開業を有利に

鍼灸師の資格のみを持って開業するより、「あん摩マッサージ師」や「柔道整復師」の資格を併せて取得しているほうが需要が高いです。あん摩マッサージ師は美容分野でのニーズが高く、柔道整復師はスポーツをしている人の治療が可能です。資格を複数持っているほうが幅広く活躍することができ、客層を大幅に広げることができるでしょう。
開業を有利に進めたいなら、鍼灸師以外の資格も取得することが重要です。

 

 

☆女性鍼灸師ならではの強みを活かした開業

鍼灸師の治療現場では、多くの女性が活躍しています。鍼灸師は男女の別関係なく働ける職業であり、収入格差もありません。さらに、女性ならではの強みを活かすことも可能なのです。
例えば、女性特有の疾患を治療するケースです。ホルモンバランスの乱れや不妊症、生理痛といった症状に、鍼灸治療が使われます。そのとき、担当する鍼灸師が同性のほうが悩みに共感しやすく、患者に安心感を与えることができるのです。患者からも相談がしやすいので、スムーズに適切な治療を行うことができます。
また、鍼灸治療は、鍼やお灸といった細かい道具を使用します。そのため、手先が器用できめ細かな動きができる、女性に向いている仕事といえます。
さらに、鍼灸師の仕事は結婚や出産後も活躍できる、生涯現役で働ける仕事です。1度現場を離れたとしても、国家資格を取得しているので、復帰しやすいことも大きなメリットです。
もちろん、女性の鍼灸師も開業をすることが可能です。女性特有の疾患の治療や、美容鍼灸など、女性の強みを活かせる分野に特化した開業を行えば、男性鍼灸師と同じか、それ以上の収入を得ることができるかもしれません。さらに、鍼灸師の資格に加えて「あん摩マッサージ師」の資格を取得すればリラクゼーション分野でも活躍ができます。エステや美顔を目的とした店舗では、顧客に女性が多いので、女性のマッサージ師が求められています。マッサージ業界は資格を持たないマッサージ師や整体師が働いている店舗もあるので、国家資格を持った女性のスタッフは信頼を得やすいといえます。
また、「柔道整復師」の資格を持っていればスポーツをしている女性の強い味方になることができます。女性特有の悩みや身体の特徴に合わせた治療は、やはり同じ女性のほうがアプローチしやすく、女性の患者の要望に適切に答えることが可能なのではないでしょうか。正しい知識と技術を身に着け、幅広い施術ができる女性の鍼灸師の需要は、非常に高いといえるでしょう。

 

☆鍼灸師の開業は高収入の可能性も

鍼灸師の開業は、高収入を狙える可能性が高いです。鍼灸師の開業を成功させるには、まず豊富な実務経験が必要です。資格さえあれば開業は可能ですが、やはり技術が伴わなければ顧客を得ることはできません。適切な処置を行えることが、信頼を得る第一歩となるでしょう。
そして、どのようなスタイルで独立するのかも考える必要があります。鍼灸師の働き方として、店舗を構えるか、往診を専門とするかの2つのパターンがあります。どちらの働き方が自分に合っているか、見極めることが大切です。
また、鍼灸師の資格だけでなく、「あん摩マッサージ師」や「柔道整復師」といったような、複数の資格を持っていると、仕事の幅が広がります。より多くの顧客のニーズに対応できれば、開業の成功率はグッと高まるでしょう。
鍼灸師の開業は、男女問わず成功する可能性を秘めています。失敗しないよう、しっかりと準備を進めましょう。

 

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