鍼灸師の就職活動って?一般の学生とどう違うの?

人の心と身体を癒す職業として、多方面の業界から高い注目を集めている「鍼灸師」の仕事。手に職ともいえる鍼灸師の仕事は、一体どのような流れで就職活動を行えば良いのでしょうか。しっかりポイントを押さえることで、就職活動がよりスムーズなものに近づきます。ここでは、鍼灸師の就職活動の特徴や、押さえておくべきポイントについて紹介します。

 

☆まずは就職活動の流れを知ろう

鍼灸師の就活は、一般的な学生とは流れが大きく異なります。そのため、鍼灸師になるには全体像をしっかりと見据えたうえで、就活を進めるのが肝心なのです。なかでも、重要なポイントとなるのが「国家資格の取得」です。鍼灸師として働くには、知識や技術だけではなく、国家資格の取得が必須となります。国家資格を取得できないと、そもそも就職ができず鍼灸師への道が断たれてしまうのです。そのため、就活はむやみに進めるのではなく、しっかりと国家試験の日程や勉強計画を綿密に練ったうえで、慎重に行うことが肝心です。また、資格取得と同様に卒業試験の日程も重要になるため、スケジュール管理の徹底を心がけましょう。
それから、国家試験や卒業試験に支障が出ないように、余裕を持って3年次に就活をしておくのも良い手です。3年次に多くの求人情報を見たり面接に行ったりして試験前に内定をもらっておくと、その後の勉強に集中しやすくなる理想的な流れを作れます。それに、企業によっては優秀な人材確保のために早期内定を出しているケースも見られ、国家試験終了後では、採用枠が狭まってしまう可能性もあります。希望する就職先が決まっている人は早い段階から企業にコンタクトを取り、就職へのアンテナを広げておくのが大切です。

 

☆開業?それとも?自分のキャリアプランを考えよう

国家資格を取得し、鍼灸師として働く切符を手にしたらさまざまなフィールドでの活躍を目指せます。鍼灸師が活躍できるフィールドは多岐に渡り、その就職先によって得られるスキルや知識は大きく異なります。そのため、就職先を選ぶ際は自分が今後「どうなりたいか」「何をしたいか」という将来のキャリアプランを明確にするのが、何よりも重要なのです。
鍼灸師と一口にいっても、就職先でスキルを磨いてから開業を目指す人もいれば、興味のある業界で第一線として働いていきたい人など、描く将来像はそれぞれに異なります。そのため、就職先を検討する際は、まず自分自身がどのような鍼灸師を目指しているのかを考え、その後にそれを実現できる職場はどこかを探すのが肝心なのです。あらかじめゴール地点を設定し、逆算方式で職場を探すと就職先選びの失敗リスクを低減させられます。
将来どのような鍼灸師になりたいのかを明確にせず安易に就職先を決定すると、思い描いていた理想と現実の差が大きくなり、就職後のミスマッチを招く原因につながるため、注意が必要です。また、就活シーンでありがちな失敗が「待遇や条件面だけで職場を決める」というケースです。もちろん給与や休日など、待遇や条件面は働くうえでとても重要な要素といえます。しかし、これらの要素だけで職場を選んでしまうと、望んでいたキャリアが思うように築けなかったり、環境になじめなかったりする可能性があります。
このような事態を招かないためにも、待遇や条件面だけで就職を決めるのは、避けたほうが無難です。待遇については自分で「最低条件」を設けておき、それを満たしているなかで企業理念や現場の雰囲気などを確認して、自分に合いそうな職場を見つけると良いでしょう。

 

☆どの業界に行くのかを考えよう

鍼灸師は各業界から需要が高く、鍼灸院や鍼灸接骨院のほかに美容業界やスポーツ業界、介護業界での求人も増加傾向にあります。さらに、なかには医療機関に就職をするケースもあるようです。このように、豊富な選択肢のなかから興味を持った業界を選び、スキルを磨けるのも鍼灸師の大きな魅力といえます。自分がやりたいことや、習得したいスキルに合わせてどの業界に行くのかを決めるのが重要です。

 

☆求人情報を探してみよう

それでは、具体的に就活を進めるには、どのようなステップを踏めば良いのでしょうか。鍼灸師の仕事に就くには、求人情報の探し方のコツを押さえておくのが肝心です。具体的な求人情報の探し方には、以下の5つが有効な方法として挙げられます。
1つ目は「求人サイトを見る」ことです。インターネット上には多くの求人情報が掲載されており、効率的に情報収集を行えます。写真や紹介文が掲載されているケースも多く、現場のイメージをつかみやすいのも魅力です。
2つ目は「学校に届いた求人票を見る」というものです。求人票は地域や業務内容、給与などを確認したうえで、自分に合う職場を検討できます。それから、在学中であればこまめに情報をチェックしやすいのも特徴といえます。
3つ目に「鍼灸業界団体に所属してみる」という方法が挙げられます。全国各地にある団体に所属すると、そのコミュニティのなかでしか得られない情報を手にできる可能性があります。
4つ目の「鍼灸学校の先生に積極的に相談する」のも良い手です。学校の先生は二人三脚で就職をサポートしてくれる、心強い味方です。希望や条件を先生に伝えて一緒に求人を探すことで、自分では見つけられなかった、最適な職場を発見できるかもしれません。
5つ目には「Facebookを活用する」という方法があります。Facebookは情報交換やコミュニケーションツールとして非常に便利で、なかには貴重な情報が掲載されている可能性もあります。鍼灸関連のグループがあれば積極的に加入し、ほかの学生や先生などと交流を深めておくのがおすすめです。たくさんの人とのつながりを作ることで、情報収集の幅を広げられます。

 

☆学校の就職サポートを利用しよう

有利に就活を進めるには、学校の就職サポートを利用するのも良い方法です。たとえば、学校のバックアップによる各種セミナーに参加すると、卒業後のキャリアプランや理想の将来像をイメージしやすくなります。それから、企業説明会に参加するのも良いでしょう。企業説明会は直接経営者や採用担当者と話ができる、貴重な場です。話をするなかでお互いの相性を見極めたり、企業研究に役立てたりすることができます。
また、個別進路相談を積極的に活用するのも良い手です。就職は人生を左右する重要な決断だからこそ、他人の意見に耳を傾けてみるのも重要です。第三者からの視点でアドバイスを受けることで、納得のいく就活を行いやすくなります。このように、学校のバックアップ体制も心強い存在なので、就活シーンでは積極的に活用するのがおすすめです。

 

☆履歴書を書くときの注意点

履歴書の仕上がりは、その人の第一印象を左右する重要なポイントといえます。そのため、応募時に必要となる履歴書は、きちんとポイントを押さえて作成するのが肝心です。押さえておくべき基本的なポイントには、以下のものが挙げられます。
まず、重要になるのは「字はきれいかつ丁寧に書く」という点です。時間と気持ちを込めた丁寧な字は、見る人に真面目な印象を与えます。また、誤字・脱字にも充分注意し、学歴などの内容も正確に記載することを心がけましょう。
それから、「写真にこだわる」のもポイントです。写真はその人の印象を決定づける大切な役割を持っています。暗い表情は覇気のない印象につながるリスクがあるため、口角をキュッと上げて明るい表情を意識しましょう。さらに、背中が丸まっていると締まりのない印象につながります。しっかりと背筋を伸ばすと、誠実な印象を与えられます。
それに加えて、「志望理由は具体的に記載すること」も重要です。その職場でなければならない具体的な理由を記載すると、採用担当者に熱意ややる気を伝えやすくなります。注意しなければならないのは、「御社で学びたい」というような内容を避けるという点です。学びたいという表現は人によって、学生気分が抜けていないという印象を与えるリスクがあります。就活では、自分のスキルを仕事でどのように貢献できるのかを伝えると、採用担当者の興味を引きやすくなるでしょう。

 

☆面接に行くときの注意点

面接は応募者と企業の相性を確かめる重要な機会といえます。限られた時間のなかで採用担当者に好印象を与えるには、身だしなみや言動に充分な注意を払うのが大切です。面接を成功させるためにも、基本的な注意点を把握しておきましょう。
まず、注意すべきポイントとなるのが、面接時は「スーツで清潔感のある服装を意識する」ことです。企業から私服などの特別な指定がない限りは、リクルートスーツやそれに準ずる服装で臨むのが無難といえます。さらに、スーツはシワや汚れが付着していないかきちんと確認しておき、清潔感を重視した身だしなみで臨むのも大切です。
それから、面接時は「元気よくはきはきとしゃべる」のもポイントといえます。小さい声でボソボソとしゃべると、覇気がなく暗い印象を与えてしまいかねません。発言するときは元気よく、はきはきとしゃべるように意識すると、明るくエネルギッシュな印象に近づけます。また、鍼灸師は人と接する機会の多い仕事であるため、人柄もチェックされる要素といえます。あいさつと正しい敬語を使うように気をつけるのも、採用を勝ち取るうえで重要なポイントとなるでしょう。

 

☆就活のポイントを押さえて自分に合った就職先を探そう!

鍼灸師の就職先は多種多様であり、就職活動の方向性によっては、将来のキャリアを左右する重要な選択といえます。したがって、後悔のない就職活動を実現させるには、将来のキャリアをしっかりと見据えたうえで、計画を立てて行動に移すことが大切です。学校のサポートなどを上手に活用しながら、自分にとってベストな就職先を探しましょう。

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